日本の実業家・玄陵氏、「食用犬の救世主」として第2の人生スタート

世界愛犬連盟設立者の玄陵氏

 「犬食を法律で禁じた韓国に世界が注目しています。そこからさらに一歩進んで地球全体の次元で国際条約が締結されるよう韓国がより大きな役割を果たすことを期待しています」

 2月23日に本紙の取材に応じた世界愛犬連盟(World Dog Alliance、WDA)設立者の玄陵氏は「(韓国では)早くても来年には(犬食禁止を定めた)法律が成立すると聞きましたが、予想以上の早さに驚いています」とした上で上記のように述べた。玄陵氏は元米連邦下院議員のキム・チャンジュン氏、ロドニー・デイビス氏、ジェフ・デナム氏、ジョセフ・クローリー氏らと共に来韓し、韓国の国会に同法案を提出した議員グループの一人である野党・共に民主党所属の韓貞愛(ハン・ジョンエ)議員らと共に今後の対応策について話し合った。

 WDAの大きな活動目標は犬を人類の食材リストから消し去ることだ。各国の食用犬農場や飲食店などから犬を買い取り、新たな飼い主を見つけてペットにすることや、女性への支援などが非営利団体の仕事だとすれば、WDAの仕事はこれらの団体のスポンサーとなり、犬食禁止の必要性を幅広く呼びかけ、これが法律として制定されるよう各国の政治家にロビー活動を行うことだ。

 中国上海出身で日本の国籍を取得した玄陵氏は電気やエレクトリック、物流などを主に手がけるLarge Horse International (Group) Company Limitedを設立し、実業家として成功した。その後2009年に経営の第一線から退き犬の権益向上を目指す慈善活動家、動物愛護活動家として第2の人生をスタートした。香港、日本、米国を行き来する玄陵氏は自宅に20匹以上のペットを飼っている。玄陵氏はこれらの活動を続ける理由について「10年前のことがきっかけ」と説明する。玄陵氏は2014年に父の出身地である中国貴州を訪問した際、ある市場で大量の食用犬が並べられていることに大きな衝撃を受けたという。その後韓国を含む犬食文化が残る国々を訪問し、実際に犬が取引される様子を自らの目で確認してきた。

 玄陵氏は「ひどい臭いがするおりの中で生まれ、死ぬまで捕らわれの身で過ごす犬たちの目を見た時の思いは今も忘れられない」と語る。玄陵氏の支援で作られたこれらの現場を撮影した動画は「刺激的過ぎる」などと批判を受ける一方で、「世論を巻き起こすことにある程度成功した」として高い評価も受けている。WDAと協力し、農場にいる犬を買い取って世話をする活動を続けている韓国の動物保護団体ケアのキム・ヨンファン代表は「各国の国会議員など政治家に対して玄陵氏は根気強くロビー活動を続けてきたが、それは今のケアの活動にも大きなプラスになっている」と語る。

 玄陵氏は「韓国は犬食文化が残る代表的な国として国際社会に広く認知されているが、世界は今回の対応で『やはり韓国は違う』と考えるだろう」と語る。その一方で今も犬食の風習が根強く残る中国やベトナムなどでも同じような動きが出るよう努力したいという。記者が「韓国は議会制民主主義が定着しているが、それらの国々は共産党一党独裁だ」と指摘すると玄陵氏は「だからこそ簡単かもしれない。上の人間が一度決めればすぐにトップダウン方式で実行に移されるはずだ」と笑顔で答えた。韓国のように各国で法律が制定されれば最終ゴールである「犬・猫の食用禁止国際条約」の締結に近づくと玄陵氏は期待している。

 「食用犬の飼育や流通、調理を行っている人たちはどこの国でもそのほとんどが生活のためで、彼らにとって犬食禁止は厳しすぎる」との指摘に玄陵氏は「そのような批判は十分理解している。だからこそ法律が実効性を持つまでに生活の手段を円滑に変えられるよう韓国政府も細心の注意を払ってほしい」と訴えた。

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者

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