来月中国に返還される韓国生まれのパンダ、2016年に死んだ祖母は「生命の神秘博物館」で展示中

 韓国で生まれ育ったパンダ「フーバオ(福宝)」が間もなく中国へ旅立とうとする中、オンラインではフーバオの祖母に当たるパンダ「シンニアル」の衝撃的な近況が伝えられ、ファンに心配されている。

【写真】筋肉・内臓・骨…フーバオの祖母パンダ「シンニアル」の標本

 一部のオンラインコミュニティーやソーシャルメディアに最近、フーバオの祖母シンニアルの近況を紹介するコンテンツが複数アップロードされた。シンニアルはフーバオの母親「アイバオ(愛宝)」を生んだパンダで、アイバオが生まれる前は、きれいな顔つきを誇って「最高の美女」とも呼ばれた。

 シンニアルは既に数年前に世を去っている。2016年2月16日、息子の「シンバオ(新宝)」の野生適応訓練を助ける過程で腸閉塞(へいそく)にかかったことが死因だった。腸閉塞とは、腸の中に内容物がたまってしまう病気で、腸の機能が止まって排便ができなくなる。消化能力が低く、食べたものがそのまま排出されるパンダにとっては、極めて致命的な疾患だ。

 2007年生まれのシンニアルが死亡した当時の年齢は、わずか8歳。ジャイアントパンダの平均寿命は、野生でおよそ15-20年、動物園で人の手によって命を永らえた場合は30年まで生きる。この点を考慮すると、若死にした側に属する。人間の年齢に換算すると24-26歳ほどの若さだ。娘のアイバオは、母親の死からおよそ2週間後の16年3月3日、雄パンダの「ローバオ(楽宝)」と共に韓国へやって来た。

 シンニアルの死後は、やや悲劇的だ。中国・成都にある「生命の神秘博物館」に剥製状態で展示されているからだ。外形だけでなく筋肉・内臓・骨の標本まで作られた。死んでまで人々の見世物になったわけだ。公開された写真を見ると、外形標本は、生きていたころのように手に竹を握った姿をしていて、筋肉標本には粗末なパンダのマスクが取り付けられている。

 死んだ動物を剥製にして教育用の標本とするケースはしばしばあるが、フーバオの中国返還が迫る中、韓国のネットユーザーの間からは心配の声が上がっている。加えて、アイバオもまた過去に中国の動物園で飼育員から虐待されていたことがあり、「フーバオが中国の環境にうまく適応できるかどうか心配」という反応が相次いでいる。

 フーバオは、中国の習近平国家主席が韓中親善の象徴として送ったアイバオとルーバオの間に、2020年7月に生まれた。韓国で初めて自然繁殖したパンダだ。かわいらしい顔と快活な性格で熱い愛を集めたが、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」に基づき、韓国を離れることになった。海外で生まれたパンダは、同条約により、交尾を始める満4歳になる前に中国へ戻らなければならないのだ。

 フーバオは今月3日、エバーランドのパンダワールド野外放飼場で韓国国内のファンと最後の対面を行い、翌日から返還準備に入った。今後およそ1カ月間、パンダワールドの屋内で、非公開状態で健康管理や検疫管理などを受ける。その後、来月3日に仁川空港でチャーター機に乗り、成都双流空港までおよそ2400キロを飛ぶ。航空便には飼育員のカン・チョルウォンさんが同乗する予定だ。

ムン・ジヨン記者

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