骨と皮だけの10歳少年、ガザ地区の食糧不足問題を世界に知らせながら息を引き取る

▲健康状態が良かった時のヤザン・アル・カファルナ君/X(旧ツイッター)

 くぼんだ目と鋭く飛び出した顎、注射針が突き刺さった痩せた腕とうつろな目でベッドに横たわる少年。ガザ地区の食糧不足問題を世界に伝えた少年が先日死亡した。米ニューヨーク・タイムズが9日(現地時間)に報じた。

 少年の名はヤザン・アル・カファルナ君(10歳)。幼い頃から脳性まひを患っていたため、戦争が始まる前まで非営利団体団体(NPO)が派遣した理学療法士などの支援を受けていた。薬を服用しながら在宅で治療を受けヤザン君の体調はある程度回復していた。歩くことはできなかったが水泳はできたという。食事のメニューにも注意が必要だった。通常の食事は飲み込むのが難しいため、父は息子のために卵やバナナなど軟らかいものを主に食べさせていた。

【写真】健康状態が良かった時のヤザン・アル・カファルナ君

 昨年10月7日にパレスチナ武装組織ハマスがイスラエルを攻撃し、これにイスラエルが報復したことで状況は一変した。避難の際には消化吸収しやすく軟らかい高栄養食は食べられなくなった。ヤザン君は通常より免疫力も低いため非衛生的な避難所には滞在できず、何度も移動しなければならなかった。

 ヤザン君の家族は今年2月にガザ地区南部ラファの病院に到着したが、ヤザン君は栄養失調で免疫力がさらに低下していた。病院もヤザン君に十分な栄養を与えることができず、呼吸器感染と脳性まひによる闘病生活の末についに息を引き取った。

 この病院で入院中に撮影された写真は比較的体調が良かった時の写真と共にSNS(交流サイト)などを通じて広がり、ガザ地区の劣悪な環境と食糧不足問題を世界に知らしめた。

 支援団体「飢餓対策行動」のヘザー・ストボ博士はニューヨーク・タイムズの取材に「ひどい栄養失調の子供がウイルスに感染すれば、それが最終的に主な死亡原因となるケースが多い」「栄養失調でさえなければこの子は助かっただろう」と述べた。

 イスラエルとハマスの戦闘で孤立しているガザ地区はひどい食糧不足の状態が続いている。国連人道問題調整事務所(OCHA)はガザ地区保健省の資料を引用し「先月末から最近まで子供や高齢者など20人が飢えや脱水などが原因で死亡した」と発表した。世界保健機関(WHO)は先月「ガザ地区北部の2歳未満の子供の約15%、南部では5%が急性栄養失調の状態にある」と明らかにした。

 このような状況で陸路によるガザ地区への支援物資運搬も難しくなっているため、国際社会は食料や医薬品などを空から投下する作戦を続けている。しかし空中投下は巨額の費用がかかる上に、十分な量の物資を運ぶのが難しく、パラシュートが想定外の場所に落下した場合は地上にいる人が危険になる。国連は「通常の陸路を使わないと大量の支援物資は運べない」と訴えている。

チェ・ヘスン記者

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