末期がんでも「治療拒否」 研修医離脱で患者団体が苦境訴え=韓国

【ソウル聯合ニュース】韓国政府が医師不足などの対策として発表した大学医学部の入学定員増に反発して研修医らが職場を離脱しているなか、がん患者など治療が急がれる重症患者が放置されているとの訴えが相次いでいる。韓国重症疾患連合会は11日、ソウル大病院前で記者会見を開き、研修医の集団離脱による患者の被害事例を発表した。

 食道がんのステージ4と診断された患者の保護者は、余命いくばくもない状態であるにもかかわらず医師から治療を断られ、自分で病院を探してほしいと言われたと明らかにし、「政府と医療界が力比べをする中で、重症患者の治療を受ける機会と時間が踏みにじられていると感じた」と苦しみを語った。

 がんと診断されて入院待機中の患者は、治療が1週間以上延期され、気をもみながら病院からの連絡を待っているとして「とても恐ろしく怖いが、この事態が終わることを願う以外にできることがない」と訴えた。

 重症患者が治療を受けられず、容体が急激に悪化するケースも続出している。

 あるがん患者は、抗がん治療のため入院する予定だったが中止になり、外来診療も延期され治療に計4週間の遅れが生じたと説明。その間に痛みが増し、数値も悪化したと証言した。

 入院の中止により抗がん治療が約10日延期されたという患者は、最初の治療を受けた後の検査で転移が分かったとして「入院日程が延期されず、すぐに治療を開始していれば転移を防ぐことができたのではないかとの考えを消せない」と話した。

 昨年10月に胆道がんと診断された70代の患者は、研修医の集団離脱が本格化した先月20日以降、入院していたソウル市内の病院から退院を強要され、療養型病院に転院した翌日に死亡した。

 重症疾患連合会は、政府と医療界の対立の中で被害を受けるのは患者だとして、政府は地方の医師不足を解消するための「必須医療パッケージ」の推進を中止し、医師は患者のもとに戻るよう求めた。

 さらに、「最も保護されなければならない重症患者が、双方の対立により交渉の道具に転落し、人質になっている」として「この破廉恥な状況を直ちに中断しなければならない」と強調。大統領に対しては対話を要請する一方、職場を集団離脱した研修医の名簿を公開するよう求め、政府がこれを拒否すれば国民の知る権利として可能なあらゆる法的手段を講じるとの立場を示した。

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