半導体「中国包囲網」に韓国も参加検討 打撃懸念も米の圧力強まる

【ワシントン聯合ニュース】米国が韓国に対し、中国向け半導体製造装置の輸出規制措置を取るよう迫っている。韓国政府としては韓米関係を考えると米国の要請をはねつけにくいが、輸出を規制すれば韓国の半導体産業の競争力に響く。苦しい立場ながら、米国の中国包囲網に一定程度足並みをそろえることを検討し始めているもようだ。

 米国は2022年10月、自国企業に中国への半導体関連の輸出を制限する規制措置を取った。米国のように半導体製造装置で高い技術を持つオランダや日本にも中国への輸出規制を求めた。

 聯合ニュースが12日までに取材したところ、米国が昨年後半以降、韓国に対しても圧力を強めていることが分かった。消息筋の話によると、最近では韓国の特定の企業名も挙げながら中国向け半導体製造装置輸出を問題視している。

 米商務省と韓国産業通商資源部はこれに関連した協議を今年2月にも行ったばかりだ。消息筋は「ワシントンとしては韓国が半導体技術の対中輸出規制の穴になるのではないかという懸念がある」と伝えた。

 米国は自国同様に韓国に対しても▼立体構造トランジスタ(FinFET)技術などを用いたロジックチップ▼回路線幅18ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下のDRAM▼128層以上のNAND型フラッシュメモリー――を生産できる装置・技術の中国向け販売について事実上の禁止を望んでいるとされる。

 別の消息筋によると、韓国企業が実際にこうしたレベルの装置を中国に販売しているかに関しては韓米の見方に違いがあるものの、米国は韓国企業の将来的な技術発展の可能性も念頭に置いている。韓国政府の反応について同筋は「米国の立場は十分に理解するが、国益の観点からすると米国の要求を全て聞き入れることが正しいのか、悩んでいる」と話した。決定には至っていないながら、米国の要求を「ある程度」聞き入れる方向だと伝えた。

 政府をためらわせるのは、対中輸出規制が韓国半導体産業の競争力に及ぼす影響の大きさだ。韓国企業が生産する半導体製造装置の技術レベルは米国や日本、オランダには及ばないとはいえ、主要市場の中国への輸出が規制される場合、韓国の半導体製造装置産業の自立化を妨げかねない。

 米国の産業団体は、米政府の輸出規制により中国市場から米国企業が抜けた穴を韓国などの競合他社が埋めていると主張。米メーカーが半導体製造装置の販売競争で不利な立場に立たされているとし、韓国や台湾なども米国と同じ品目・形式で輸出を規制する必要があると米商務省に1月に申し入れた。韓国側はこれが米政府の政策に反映されることを危惧する。

 韓国の半導体製造装置メーカーの競争力は、その装置を購入する韓国半導体大手サムスン電子とSKハイニックスのコスト競争力にも直結する。韓国政府としては対中輸出規制に慎重にならざるを得ない。

 中国の華為技術(ファーウェイ)は昨夏、先端半導体を搭載した新型スマートフォンを発売した。これに衝撃を受けた米国が汎用品の半導体製造装置まで輸出規制対象に含めるなど規制を強化する場合、韓国半導体産業へのさらなる打撃は避けられない。一方で、中国への輸出規制は同国半導体産業の成長の抑制につながり、追い上げる中国を振り切りたい韓国にとって長期的にはプラスになるとの見方もある。

 韓国政府は米国が主導する多国間の輸出管理体制に参加せざるを得ない場合に備え、法的根拠を整える作業を進めている。2月に対外貿易法を改正し、戦略物資の定義に関し「大統領令で定める国際輸出規制体制」という部分の後に、「またはこれに準ずる多国間の輸出規制協調に基づき輸出許可など制限が必要な物品など」と加えた。

 政府はこの法改正を、ロシアを念頭に置いたものだと説明する。米政府はウクライナ侵攻を続けるロシアに対し同盟国を中心に新たな多国間輸出規制体制を築く必要があると、働きかけてきた。

 米国は中国に関しても、半導体や人工知能(AI)など先端技術を持つ同盟国が別途に輸出規制体制を持つ必要があると主張している。

 韓国の政府内外では、米中の技術覇権争いが一時的な現象でなく構造的要因になりつつあり、半導体産業での米国の影響力を考慮すると、形式はどうあれ韓国が半導体製造装置の対中輸出規制に参加するのは時間の問題という見方も出始めている。

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