観客動員800万人突破 韓国映画『破墓』を見てSHIBUYA SKYを思い浮かべた理由【コラム】

東京のグローバル競争力を高めて未来を示した麻布台ヒルズ
共生の哲学に基づき公共・民間がコラボした開発の決定版
日帝時代の鉄杭をモチーフに日本の妖怪を退治する映画『破墓』のほろ苦い人気
韓国はいつになったら日本のトラウマから抜け出せるのか

 しかし、森ビルの神話を可能にした真の主役は他にいた。果敢な規制撤廃と制度改善を断行した日本政府と東京都だ。2002年に当時の小泉首相が都心の主要地域の高さ制限を撤廃し、容積率を2倍にしたのがその始まりだった。「国家戦略特区」プロジェクトも功を奏した。長期にわたって進められる都市開発が予想外の規制と金融リスクによって中断するという事態を避けるために、国が全面的に支援した。それまでの住宅と新たに開発した住宅を一対一で交換する「都市再開発法」は、大資本の攻勢から地元住民を保護した。六本木ヒルズ、麻布台ヒルズが開発されても、地元住民のほとんどが先代から住み続けていた地域を追われずに済んだというのはこうした理由からだ。ソウル大学のキム・ギョンミン教授によると、「公共と民間がコラボした都市開発の決定版」だが、韓国ではこれを成し遂げられず、「韓国版六本木」を叫んでいたソウル・竜山国際業務地区(竜山ドリームハブ)は開発事業の破綻という苦汁をなめる羽目になった。

 東京から韓国に戻り、映画『破墓』を見た。映画『建国戦争』を手がけたキム・ドクヨン監督の「左派の映画」という批判には同意しないが、映画を見てその心情が理解できた。『破墓』の監督は『プリースト 悪魔を葬る者』『サバハ(THE SIXTH FINGER)』を手がけたオカルトの巨匠だというが、その内容は、虚偽だと判明した(日帝時代の)鉄杭のうわさを基に、韓半島に流れる精気を断ち切ったサムライの妖怪を打ち倒すという親日清算のストーリー展開だった。若い巫女(みこ)ファリムが「日本の妖怪は韓国の幽霊と違い、手当たり次第人を殺すらしい」と言ったときには失笑を禁じ得なかった。『鬼滅の刃』でもないだろうに。それでも映画の興行成績は破竹の勢いだ。

 SHIBUYA SKYから見下ろした東京の夜景が頭に浮かんだ。ぞっとするほど活気に満ちあふれていた。日本政府と森ビルが成功させた六本木モデルは、渋谷、新宿、日本橋など交通の要地にも拡大され、東京を新しく生まれ変わらせている。円安の影響で外国人観光客が2000万人を突破したというニュースや、日本が半導体大国として復活し、不動産の黄金期を迎えているという報道を見て、また一層みじめな気分になった。「みんなのためのアート」を宣言したキース・へリングのように、東京は「みんなのための都市」に生まれ変わるべく未来に向かって駆け出しているのに、我が国だけが過去に縛られてうめいているのではないか。掘り起こさなければならないのは親日派の墓ではなく、自分たちの内部にある日本のトラウマだったのだ。

金潤徳(キム・ユンドク)先任記者

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