「売国奴発言は間違いではない」「反日扇動勢力は自営業者の敵」　東京五輪アーチェリー3冠選手を告訴、韓国自営業者の間で意見が対立

　韓国の日本風居酒屋に対して「売国奴」と発言した東京五輪アーチェリー3冠の安山（アン・サン）選手を韓国の自営業者団体が告訴したことをめぐり、自営業者の間では賛否両論が渦巻いている。告訴を支持する意見と、発言に問題がないのに告訴するはやり過ぎだという意見がぶつかり合っているのだ。

【写真】「売国奴」認定された日本風居酒屋チェーン店代表巡り飛び交う「自死」のデマ

　韓国警察などによると、「安山選手が自営業者全体を侮辱し名誉を毀損（きそん）した」という内容の告訴状が19日、受理された。

　告訴人となった自営業連帯のイ・ジョンミン代表は「安山選手が日本風居酒屋を売国奴だと主張し、善良な自営業者を侮辱した」「この居酒屋ブランドの代表、加盟店主、日本風の料理を販売する自営業者、そして今日も黙々と店を守る700万人の社長たち全員を冒涜（ぼうとく）した」と主張した。

　イ・ジョンミン代表は同日、韓国最大の自営業者向けコミュニティーサイト「つらいから社長だ」で、告訴した事実を明らかにした。

　イ代表はコミュニティーサイトへの投稿で「安山選手を告訴したことについて、私たちの意図とは裏腹に左と右に分かれて互いにけなし合い、フェミニスト論争によって騒々しくなっていることについて、まずは遺憾を表明する」としながらも「弱い自営業者をこれ以上黙って見ていることはできず、立ち上がることになった」と説明した。

　イ代表の投稿に対し、自営業者とみられるネットユーザーたちからさまざまな意見が書き込まれた。

　イ代表による安山選手告訴を批判する人たちは「なぜあなたが自営業者の代表であるかのように振る舞うのか」「全ての自営業者が同じ考えを持っているわけではない」「安山選手を応援する」「あなたのせいで自営業者が悪く言われる」などの反応を見せた。

　これに対し、イ代表は返信で「市民団体の活動を理解できない方々がこんなにも多いとは思わなかった」として「私は自分が全自営業者の代表だと主張したことはない。自営業連帯という自営業者団体の代表にすぎない」と反論した。

　一方、イ代表を応援する人たちは「よくやった。ファイト」「応援してます」「反日扇動勢力は自営業者の敵だ」などの反応を見せた。

　安山選手は騒動が拡大すると、19日にインスタグラムで「決して特定の店や個人を侮辱する意図はありませんでした」と謝罪した。

　しかし、ネット上では依然としてこの件に関する論争が続いている。一部のコミュニティーサイトでは、安山選手に関する記事やネット上の投稿に前向きなコメントを付けようという運動が起きている。また一部では、論争の発端となった日本風居酒屋のレビュー欄に星1個（最低評価）を付けまくるという嫌がらせも起きている。

　これに反発した一部のネットユーザーらは、安山選手がかつて日本料理店を利用した際の写真や、日本の漫画のキャラクター商品を利用した写真をシェアするなどの形で応戦している。

　安山選手は今月16日、インスタグラムのストーリー上に、日本語で書かれた電光掲示板の写真を投稿し「韓国になぜ売国奴がこんなに多いのか」と書き込んだ。

　安山選手が言及したのは、鍋料理専門の居酒屋をコンセプトにした韓国のチェーン店「スペシャル・ナイト」だ。電光掲示板は入口の飾りとして設置されたものだった。

　この居酒屋チェーンの代表クォン・スンホ氏は17日、インスタグラムで「派生するうわさと憶測によって、一瞬にして私は親日派の子孫になり、私のブランドは売国ブランドになった」と被害を訴えた。

キム・ミョンイル記者