金与正氏「日本が首脳会談を提案」…岸田首相「承知していない」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委員会副部長が25日、日本の岸田文雄首相が金正恩総書記と会いたいという意向を伝えてきた、と明かした。岸田首相は、関連の内容について「承知していない」と述べた。

【写真】「隣に座った金与正氏が私の腕を触ってきた」…板門店で8年間勤務した米海軍退役将校が証言

 金与正氏は25日、朝鮮中央通信を通して公開した談話で、岸田首相が「最近また別のルートを通じて、できるだけ早い時期に」金正恩総書記と会いたいという意向を伝えてきた、と主張した。先に岸田首相が先月9日、日朝首脳会談の必要性に言及すると、金与正氏は談話を通して、岸田首相の訪朝および日朝首脳会談は可能だと回答した。その上で、核・ミサイル開発を問題にせず、拉致被害者問題も取り上げるべきではないという前提を付けた。

 今回も、金与正氏は「日本が、これ以上解決することも(北朝鮮が)知る手段もない拉致問題にこだわるのであれば、首相の構想は人気取りに過ぎないという評判を避けられなくなるだろう」と語った。その上で「自分が望んでいるからといって、わが国の指導部と会うことができる、または(わが国の指導部が)会ってやるわけではないことを理解すべき」と念を押した。

 岸田首相は同日午後の参議院予算委員会で、金与正談話に関する野党議員の質問に対し「ご指摘の(談話関連の)報道については、まだ承知していない」と答弁した。さらに「従来から申し上げているように、日朝関係、拉致問題などの諸課題を解決するためにはトップ会談が重要であるということで、私直轄のレベルでの北朝鮮に対するさまざまな働きかけを行ってきている」と述べた。

 日本と北朝鮮、双方から首脳会談への言及が継続して出てきているのは、それぞれ望んでいるところがあるからだ。内閣支持率がどん底の岸田首相は、突破口を模索するため外交的成果が必要な状況だ。一方で北朝鮮は、日本との関係を改善して韓米日3カ国密着に亀裂を入れようとしているものと分析されている。また北朝鮮は、「兄弟国」であるキューバが電撃的に韓国と国交を結んだことに対応する必要もある。ただし、拉致問題などで双方の立場の差があまりに大きいことから、すぐに日朝会談が実現する可能性は高くない-と分析されている。韓国政府の消息筋は「北朝鮮が水面下での接触内容を公に言いふらしていること自体、別に進展はないということの傍証」と指摘した。

キム・ミンソ記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲北朝鮮の金与正・労働党中央委員会副部長。/労働新聞・ニュース1

right

あわせて読みたい