天安爆沈陰謀論者が次々と韓国総選挙に出馬、国民の常識を恐れないのか【寄稿】

 合同調査団の報告書は、事件発生直後から北朝鮮を弁護する反国家勢力が悪意で生産し、組織的に広めた数多くの陰謀説をきれいに退ける決定的物証と科学的論証を盛り込んでいる。それにもかかわらず、当時の世論調査を見ると、国民の約30%は合同調査団の発表に不信感を抱き、政府操作説、米軍誤爆説、座礁説、疲労破壊説など、物証も論証もない荒唐無稽な陰謀説にだまされた。

 当時最大野党は北朝鮮の犯行を認めなかった。ある有名な詭弁論者は「0.001%」も信じられないと言い、非常識な意地を張り、ある政治家は軍事テロに遭った国軍と政府に向かい、「残酷な敗戦の責任を負って謝罪しろ」と声を荒げた。5年後、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の新政治民主連合代表は、天安事件が「爆沈」「北朝鮮潜水艇による攻撃」であることをようやく認めたが、政府の安全保障失敗を批判するというおかしな行動を見せた。彼らはみな、軍事テロを行った北朝鮮の全体主義政権に対しては、批判も抗議もしなかった。家に盗賊が入っているのに、盗賊は逃がし、家長を殴ったも同然だ。テロ集団を庇護し、テロに遭った国軍を非難する彼らの宿敵とは一体誰なのか?

 最近総選挙を控え、天安陰謀説をまき散らし、暴言を吐いていた人物が相次いで公認されるという不条理が起きた。自由民主主義国家は、誰が何を考えても、その考えをどのように表現しても、他人に直接危害にならない限り処罰してはならない。 開かれた社会の自由と寛容を悪用する勢力が国会入りを狙っても、法的な制約が加えられることはない。

 北朝鮮の軍事テロに目を閉じ、韓国政府と国軍を攻撃した人物には国民の代表になる資格がない。にもかかわらず、開かれた社会の自由のおかげで、彼らは今、公党の公認を受け、国会へと向かっている。韓国社会はなぜ、特に反国家勢力の妄言にだけ寛容なのか。彼らの国会入りを阻止する方法は、市民社会の公論と有権者の投票しかない。おかしな時代の選挙では、良い候補を選ぶことよりも悪い候補を排斥することが最善の投票行動かもしれない。

宋在倫(ソン・ジェユン)カナダ・マクマスター大教授(歴史学)

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  • ▲2017年3月26日に京畿道平沢市の海軍第2艦隊司令部で開かれた天安爆沈事件7周年の追悼式典後、生存者キム・ユンイル氏(当時上等兵)が他の生存者と共に壊れた艦体を眺めている/オ・ジョンチャン記者

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