被爆地ナガサキで起きたガンジー像推進騒動

 長崎市で最近、インド政府の寄贈によって、インド人の精神的支柱であるマハトマ・ガンジー(1869-1948)の胸像の設置が計画されたが、住民の反発にぶつかって保留になった。第2次世界大戦時に米軍の原爆投下を受けておよそ8万人が死亡した長崎市に、非暴力を象徴するガンジーの銅像を立てて「平和」のメッセージを強調したいという趣旨だったが、「景観を損ねる」などの指摘が集中した。

【写真】マハトマ・ガンジー胸像序幕式に出席した文在寅大統領(当時)と印モディ首相(2019年2月21日)

 4月3日にテレビ朝日などが伝えたところによると、長崎市当局は最近、地域の名所である眼鏡橋付近の散策路にガンジーの胸像を設置する計画を中止した。眼鏡橋は市内を流れる中島川に架かる橋で、400年近い歴史を持つ地域のランドマークだ。ここにガンジーの胸像を立てるという計画は、昨年10月に長崎市を訪れたシビ・ジョージ駐日インド大使の提案でスタートした。大使は当初、被爆による死者の追悼と世界平和を祈って1955年に整備された長崎平和公園に胸像を設置しようとしたが、「抽象的な『世界平和』を念願する公園に、特定人物の銅像を置くことは適切ではない」という市側の判断で場所を移した。実際、長崎平和公園には実在の人物の銅像はない。眼鏡橋は長崎の名所である上、当初の原爆投下目標地点からもあまり離れておらず、設置場所に選ばれたという。

 長崎市は今年2月に着工し、3月中に胸像設置を終える予定だったが、予想外の住民の反発にぶつかった。問題は、銅像の大きさだった。共同通信・読売新聞によると、駐日インド大使館が長崎に寄贈するガンジーの胸像は、高さが2.4メートル、幅が1.7メートル。胸像の頭の部分だけでも実際の人間より5倍くらい大きいという。眼鏡橋が位置する栄町の住民自治会長、尾上重道さん(75)は、読売新聞の取材に対し「胸像があまりに大きくて(設置されると)違和感がある。歩道の幅も5メートルに狭まる」と話した。眼鏡橋に近い中島川沿いで飲食店を営む男性も「(ガンジーの胸像は)景観を損ねるだけ」と語った。先にインド外務省は、G7(主要7カ国)首脳会議が開かれた昨年5月、長崎と並んで原爆が投下された広島にガンジーの胸像を設置した。ただし、胸像の位置が都心から多少離れている広島と異なり、長崎の眼鏡橋は住民の往来が頻繁で、強い反発が起きた-と現地メディアは伝えた。インド側が「非公式核保有国」である点も反発を大きくしたといわれている。ガンジーの非暴力思想とはまた別個の問題として、「核兵器を保有する国の寄贈品を、核攻撃を受けた長崎に建てるのは不適切」というわけだ。

 長崎市当局は結局、3月の工事を中止し、場所を再検討することとした。一部の市民は「設置自体を撤回すべき」という立場だといわれているが、鈴木史朗・長崎市長は3月、SNS(交流サイト)に「(ガンジーの)理念と活動が世界的に認められており、市が目指す『平和を愛し、平和の文化を育むまち』の考え方に一致する」と投稿し、撤回要求を事実上拒否した。読売新聞など日本の各メディアは「場所を協議する過程で市・住民間の対立が続くものとみられる」と伝えた。

金東炫(キム・ドンヒョン)記者

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