製造業を固守してITで出遅れた日本、デジタルスタートアップ誘致に10兆円

 2000社を超えるスタートアップと約60社のベンチャーキャピタルが集まる東京・渋谷は日本のスタートアップの「聖地」と呼ばれる。グーグルの日本法人グーグルジャパンもある。地元・渋谷区は昨年、スタートアップを育成するために民間企業が参加する「シブヤスタートアップス株式会社」を設立した。日本で起業を希望する人のビザ取得を支援し、オフィススペースも提供する。日本国内だけでなく、海外のスタートアップも支援対象だ。

【グラフィック】日本のデジタルトランスフォーメーション投資額

 オープンAIがアジア拠点として日本を選んだ背景には、最近日本政府主導で進行している「デジタルトランスフォーメーション」も影響を与えたとみられている。日本の総務省が昨年発表した情報通信白書によると、日本企業のデジタルトランスフォーメーション進行度は48.4%にとどまった。 米国(78.6%)やドイツ(80.6%)、中国(88.3%)の半分にすぎない。他の先進国に比べ遅れたデジタルトランスフォーメーションを加速したい日本政府は、政策的支援と巨額の予算で海外のIT企業とスタートアップを積極的に誘致している。

■自治体まで誘致作戦

 日本政府は海外のテクノロジー企業の中でもとりわけスタートアップを誘致しようとしている。日本政府は2027年までにスタートアップ市場に10兆円を投資すると発表し、外国人の起業に関する規制も緩和した。これまで外国人が日本で事業を行うためには、通常事務所と2人以上の常勤社員、500万円以上の資本金が基本条件として必要だった。売上高が少ないスタートアップは条件クリアが難しいという不満の声が上がったため、制度を変更。事務所や資本金などの条件を満たさなくても、事業計画が認められれば、2年間滞在できるように要件を緩和した。昨年4月に新設された特別高度人材ビザは、海外の専門人材に5年間のビザを発給するものだ。

 日本の大々的な政策変化は、グローバルIT産業の巨大な潮流にこれ以上遅れまいという切迫感があるためだ。日本では過去にIT投資が低調で、世界的なトレンドだったデジタルトランスフォーメーションの時期を逸し、産業全体の競争力を大幅に低下させた。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本のIT投資は2000年の1998億ドルから2020年には1757億ドルにまで減少した。同じ期間に米国のIT投資は4195億ドルから7834億ドルへと約2倍に増えた。米国と日本の格差は2000年の約2.1倍から20年には約4.5倍にまで拡大した。

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