韓国総選挙 最大野党の「単独過半数」確実 

【ソウル聯合ニュース】10日投開票の韓国総選挙(定数300)は、革新系最大野党「共に民主党」の単独過半数の維持が確実となった。保守系与党「国民の力」は約100議席にとどまる「惨敗」を喫する公算が大きい。

 開票率が70%を超えた11日午前0時現在、共に民主党は159の選挙区で、国民の力は92の選挙区で1位となっている。このまま推移すれば、共に民主党が小選挙区(定数254)の議席だけで過半数を握る圧勝が予想される。

 今回の選挙は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の任期5年の折り返しを前に行われ、尹政権の中間評価と位置付けられた。少数与党の国民の力は第1党の奪取を目指したが、「政権審判」を掲げる野党にのまれた。政権を支える与党の議会運営は厳しさを増す見通しで、政権はレームダック(死に体)化になりかねない。

 中央選挙管理委員会によると、総選挙の投票率(暫定値)は67.0%となり、前回2020年の総選挙(66.2%)より0.8ポイント高く、1992年の総選挙(71.9%)に次ぐ高さとなった。投票率が高かったのは2大政党の支持層だけでなく無党派層の関心が高まったためとの見方が出ているが、この層が政府・与党にノーを突きつけた形だ。

 前回の総選挙では国民の力の前身「未来統合党」が103議席の獲得にとどまり、180議席を得た共に民主党に惨敗していた。今回は共に民主党のほか、曺国(チョ・グク)元法務部長官が結成した「祖国革新党」が比例で2桁の議席を獲得するとみられるなど野党陣営が200議席に迫る。

 政府与党は野党の協力なしでは法案や予算案を可決することができず、年金・労働・教育の「3大改革」など尹政権の優先課題の実現も容易ではない。

 野党は国民の中に不満がくすぶる尹大統領の金建希(キム・ゴンヒ)夫人を巡る疑惑を捜査するための特別検察官の任命や政府の政策に関する国会の国政調査などを求め、政権を強く揺さぶる見通しだ。

 尹大統領が意欲を示してきた対日関係の改善にも影響が出そうだ。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は尹政権の対日外交を激しく批判してきた。総選挙を勝利に導いた李氏は徴用訴訟問題などで非難のトーンを強めるとみられる。

 与党内の混乱も必至だ。国民の力は昨年12月、総選挙を指揮する非常対策委員長に尹大統領の最側近、韓東勲(ハン・ドンフン)前法務部長官を据えたが、韓氏の責任論が強まる見通しだ。尹大統領に近い勢力の求心力も低下するとみられる。

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