新任秘書室長を自ら紹介、記者と質疑応答…「これからは政治をする」と言う尹大統領【4月23日付社説】

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、新任秘書室長に保守系与党「国民の力」の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員、政務首席に洪哲鎬(ホン・チョルホ)元議員を任命した。尹大統領は就任後初めて自ら人事発表を行い、1年5カ月ぶりに取材陣との質疑応答も行った。尹大統領は「これからは国民にもっと近づき、野党との関係でももっとコミュニケーションを取り、説得することに力を注ぎたい」と語った。「これからは政治をする大統領になる」という尹大統領が、変化の意志を明らかにしたのだ。決して一過性の行事や言葉にとどめてはならない。

 今回の総選挙で審判を受けたのは「国民の力」ではない。大統領室のブレーンでもない。韓国国民は尹大統領を審判したのだ。前任の李官燮(イ・グァンソプ)、金大棋(キム・デギ)秘書室長は能力を認められてきたエリート官僚だった。新任の鄭鎮碩室長も、国会議員を5期務め、国会副議長・与党非常対策委員長・院内代表・大統領府政務首席などを歴任した。いくら経綸と能力を備えた人物をブレーンに据えても、大統領が独善と不通に閉じこもっていては無駄になる。

 尹大統領はこれまで、自分と夫人によって引き起こされた各種の論争について何の釈明も謝罪もしなかった。金建希(キム・ゴンヒ)夫人のブランドバッグ授受問題に最後まで沈黙し、海兵隊員殉職事件で捜査を受けていた李鐘燮(イ・ジョンソプ)元国防相を駐豪大使に任命して出国させた。医学部定員増問題も、早期に解決できることを泥沼に沈めてしまった。与党内部に頻繁に干渉し、3回も非常対策委体制へと追いやった。ブレーン陣を誰に交代しようと、こんなことが繰り返されたら国政の正常化は難しい。

 大統領は当然、政治をすべきポストだ。与野党や各界の人物とあまねく会い、さまざまな利害関係を調整しなければならない。批判を聞き、方向が誤っていたら改めなければならない。総選挙に負けた後、ようやく政治をやるのだから「晩時之嘆」(時機を逸した嘆き)だ。鄭鎮碩室長は「ひたすら国民と同じ高さの目線で、大統領に客観的な観点から申し上げたい」と語った。秘書室長がこの言葉を守り、大統領がこれを受け入れるなら、国と社会の雰囲気は大きく変わるだろう。

 特別検察官問題はもちろん、医療不全事態や労働・教育・年金改革、民生対策など、容易なことは一つもない。進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表との会合がテストケースになるだろう。民主党は、国会が始まる前から「協治を頭の中から消すべき」と言っている。この難関を克服する出発点は結局、大統領本人が変わることだ。

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  • ▲韓国の尹錫悦大統領が22日、竜山の大統領室庁舎ブリーフィングルームで、自ら新任の鄭鎮碩・大統領秘書室長を紹介しているところ。/大統領室提供

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