五輪メダルどころか出場権確保も困難、韓国のスポーツはなぜ没落したのか…代表選出を嫌がる選手も

■選手不足・国内向けに成り下がる…「アジア二流」の危機

 このような低迷は予見されていたことだった。少子化の影響で選手人材が徐々に減少しているからだ。地方の中学・高校における団体球技種目は選手募集自体が困難なのが実情だ。また、選手たちの学習権を保証しなければならないというプレッシャーのため、練習時間が減らされている。プロリーグが人気の一部種目では、選手たちが国内に安住する傾向が強い。バスケットボール・バレーボールはアジア圏でも既に強豪とはいえない。一方、国内リーグの選手たちの年俸は最高で10億ウォン(約1億1500万円)近くまで跳ね上がった。彼らは韓国代表に選ばれることを歓迎しない。既に国際競争力が下がっており、韓国代表チームでの成績が悪ければバッシングが起こるだけでなく、もしケガでもすれば損害が大きいためだ。

 以前のように選手たちを1カ所に集めて厳しいトレーニングに集中させることも、今では通用しない。ある五輪金メダリストは、「(韓国代表選手のトレーニング施設)鎮川選手村(忠清北道鎮川郡)は選手が外出しようが、病気で休んでいようが、構うのをできるだけ避ける。以前の泰陵選手村(ソウル蘆原区)の時とは雰囲気が違う」と語った。太極(韓国国旗)マークに対するプライドもだんだんと薄れていっている。「国際大会は兵役特例(免除など)の手段に過ぎず、国を代表して出るという使命感はほとんど見られない」という声も多い。昨年のアジア大会サッカー金メダルで兵役特例資格を得た選手たちが今回の23歳以下(U-23)アジアカップに多数出場していないという事実がこれを証明している。大韓柔道会のソン・チャンジョン専務は「ウズベキスタンやモンゴルの選手たちはスポーツで成功するという目標意識を持ち、『ハングリー精神』で努力するが、韓国のスポーツ界では目にすることが難しくなっている」と語った。

 科学的なトレーニング方式や新しい時代に合ったコミュニケーション構造を研究するのではなく、海兵隊のキャンプのような精神力強化で難関を突破できると信じている指導者たちも問題だ。ソウル大学教育学部体育教育科の崔義昌(チェ・ウィチャン)教授は「さまざまな種目に旧時代的な慣習が染み付いているのは事実だ。新しい育成方式を開発しなければ、層が薄くなっている種目の競技力の向上は不可能だ」と述べた。

 韓国のエリート・スポーツは岐路に立たされている。従来の選手育成方式を固守しながらも選択と集中をさらに進めるのか、さもなければ生活スポーツに対する投資と支援を増やし、すそ野を広げて選手を見いだすかだ。その選択の時が近づきつつある。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者、イ・ヨンビン記者

【グラフィック】最後に五輪に出たのはいつ?…パリ五輪出場権獲得が困難な韓国の球技種目

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