韓国最大野党代表 尹大統領との初会談で苦言=雑踏事故の特別法など要求

【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は29日、大統領室庁舎で最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表と会談した。尹大統領が2022年5月に就任して以来、李氏と会談するのは初めて。李氏は尹大統領がソウル・梨泰院で159人が死亡した雑踏事故を巡る特別法などに拒否権を行使したことに遺憾を表明するとともに、水害の行方不明者を捜索中だった海兵隊兵士の殉職事件に絡んで捜査に圧力がかけられた疑惑を特別検察官に捜査させる法案などを受け入れるよう要請した。

 会談は今月10日に実施された総選挙で与党「国民の力」が大敗したことを受け、尹大統領が19日に李氏に電話をかけて提案し、実現した。

 李氏は会談で「国政基調の転換を求める総選挙の民意を尊重してほしい」として、「行政の権力で国会と野党を屈服させようとすれば国政の成功は容易ではないと考える」と苦言を呈した。

 また、今後国会の決定を尊重するとの約束を「丁寧に要請したい」と表明。雑踏事故の真相究明などのための「梨泰院特別法」や特別検察官法案を受け入れるよう求めた。

 李氏は「この機会に国政運営にとって大きな負担になっている家族らのさまざまな疑惑も整理してほしい」とも促した。大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作事件に関与した疑惑などを特別検察官に捜査させる法案を受け入れるよう求めたものとみられる。

 医師不足などの対策として政府が打ち出した大学医学部の入学定員増に対し、全国の研修医が一斉に職場を離脱するなど医療界が強く反発していることに関しては、「医学部の定員拡大などの医療改革は必ず実行すべき課題であるため、民主党も積極的に協力する」として、「与野党と医療界が共に議論すれば良い解決策がまとまると考える」と述べた。

 李氏が総選挙時に掲げた国民1人当たり25万ウォン(約2万8000円)を「民生回復支援金」として支給することについては、「ぜひ受け入れることを願いたい」と促した。

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