世界最悪ペースで少子化が進む韓国の所得税制は子どもが多いほど不利【5月21日付社説】

 先進各国はどこも家族に配慮した税制を取り入れているが、世界で最も少子化のペースが速い韓国では子供が多いほど不利な税制となっている。韓国で20歳以下の子供に対する扶養控除は1人当たり150万ウォン(約17万円)で、これは16年前から据え置かれている。しかも所得のない子供でも満20歳を超えると無条件で扶養控除の対象から外され、満20歳以下の子供もアルバイトで年間500万ウォン(約57万円)以上の所得があれば扶養控除の対象から外される。

【グラフィック】主要国の合計特殊出生率

 子供の多い家庭が自家用車を購入する際に自動車取得税を減免する制度も2010年に導入されたが、その後一度も基準が見直されることはなく減免額は15年据え置かれている。伝貰(チョンセ=契約時にまとまった額の保証金を賃貸人に預け、毎月の家賃がない不動産賃貸方式)保証金の融資を受けた際、1年の金利の40%範囲内で最高400万ウォン(約46万円)が控除されるが、その対象は首都圏で専有部分の面積が85平方メートル(首都圏以外では100平方メートル)までの住宅だ。子供が多い家庭は多くの部屋が必要だが、これよりも広い部屋を伝貰で借りた場合は控除が受けられない。

 主要先進国ではどこも少子化対策のため税制は子供のいる家庭に配慮した形になっている。ドイツの場合、子供に対する扶養控除をここ16年の間に1932ユーロ(約33万円)から3192ユーロ(約54万円)へと65.2%引き上げた。しかも共働き夫婦には双方に子供の扶養控除が適用されるため、夫婦の控除額を合計すれば子供1人当たりの扶養控除は6384ユーロ(108万円)にまで増える。国は税金を徴収しないので子供をたくさん生んでしっかり育ててほしいということだ。

 少子化の解決に成功したとされるフランスではベビーシッターを雇う費用も控除の対象になる。家族数が多いほど税率を低くするN分N乗方式も導入されている。日本も子供1人当たりの扶養控除は韓国の2倍に相当する38万円だ。子供が19歳以上の成人になっても所得のない学生の場合は23歳まで25万円が控除される。シンガポールでは働く女性を対象に子供の数によって控除の額が決まる制度を導入している。

 韓国ではここ16年間に少子化対策として総額280兆ウォン(約32兆円)もの予算を投入したが、合計特殊出生率は今も低下を続けている。現金支給による支援を増やすことも重要だが、子供を育てる親たちに実質的な恩恵が行き渡るように税制を見直すことも必要だ。子供を育てる家庭には所得控除を拡大し、同時に先進国に比べて過度に高い所得税が非課税の人の割合を大幅に減らすなど、少子高齢化に合わせて所得税制を見直していかねばならない。

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  • ▲グラフィック=李撤元(イ・チョルウォン)
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