ロボット審判時代に文句を言うのは誰なのか【朝鮮日報コラム】

スポーツ競技の誤審問題を解決するため、種目ごとにロボット審判を導入する動きが拡散
一部の選手は「正確でない」と不満、結果の出ない選手の言い訳に

ロボット審判時代に文句を言うのは誰なのか【朝鮮日報コラム】

 1986年に行われたメキシコW杯(ワールドカップ)の準々決勝で、アルゼンチンのマラドーナはイングランドを相手に有名な「神の手(Hand of God)」事件を引き起こした。ハンドながらもゴールを決め「頭と『神の手』が一緒につくり出したゴール」と主張。盗っ人たけだけしい態度で対応した。実際、事の発端は主審による誤審にある。主審だけではなく、線審までもそのシーンを見逃したために発生した喜劇となった。

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 もし、現在のようなビデオ判定(VAR、Video Assistant Referees)が存在していたとすれば、どうなっていただろうか。ゴールは当然無効となり、マラドーナは故意にボールに触れたため、レッドカードで退場させられていたはずだ。アルゼンチンはこの決定的な誤審のおかげで、イングランドを2対1で下し、準決勝進出。結局W杯制覇という華々しいフィナーレを迎えることとなったが、VARがあればイングランドが勝っていた可能性が高い。アルゼンチンとしては、チーム戦力の50%以上と言われていたマラドーナの退場後の空白を埋めることは困難であったに違いない。

 結局のところ、スポーツも「資金次第」といった皮肉もあるが、いったん試合が始まれば、目の前で不正が行われにくいといった長所もある。ところが誤審という問題が、こうした期待を裏切ることもあった。「誤審も試合の一部」という訓戒は、主に勝ったチームが口にする詭弁(きべん)に過ぎない。以前は明白な誤審があっても、審判が言い張ればそれで十分だった。しかし、技術が発展するにつれ、こうした不条理はなくなりつつある。数十個に及ぶカメラとセンサーが、競技場のあちこちで人間の能力では到底捉え切れない領域までを解読し、正確な判定を下している。サッカーから野球、バレーボール、バドミントン、バスケットボール、はたまた競馬に至るまで、「ロボット審判」を活用して判定の正確性を高めようとする試みは拡散している。

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