共に民主党院内代表の口から出た「判事選出制」【6月11日付社説】

 「サンバンウル違法対北送金」事件で起訴された李華永(イ・ファヨン)元京畿道副知事に裁判所が一審で懲役9年6カ月の重い刑を言い渡したことを受け、検察は、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表を第三者収賄の容疑などで起訴するだろうという。李代表は否定しているが、検察は李代表が対北送金について事前に報告を受けるなど、二人は事実上の共犯関係にあったとみている。

 すると、共に民主党は10日、この事件を捜査した検察と裁判部に対し同時に圧力を加えた。まず、対北送金事件を捜査した検察を捜査する特別検察官を党の意見として推進したいとした。被疑者が検察を捜査したいと言っているのと変わらない。民主党は、大統領がこの特検法を拒否するのなら検事を弾劾する、と主張した。

 民主党の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表は、李・元副知事に有罪を言い渡した裁判部を非難する記事をフェイスブックでシェアし「審判(判事)も選出すべき」と書いた。国会法制司法委の幹事に内定している金勝源(キム・スンウォン)議員は「司法制度改革の必要性を証明する契機」だと語った。検事と判事に対する「座標指し」(特定のコンテンツをシェアして、そのコンテンツに対する『いいね』やコメントを求める行為)や集団いじめといった、ケッタル(李代表の熱烈な支持層)あたりがやっていたことを、国会議員らが立法の手段にするというのだ。

 民主党は、先の国会で保守系与党「国民の力」が務めていた法制司法委の委員長ポストを、今国会では自分たちが務めるとし、強硬派を法制司法委に配置した。検察と裁判所に影響力を行使できる法制司法委を民主党が取り戻そうとするのは、李代表に対する「防弾」故だろう。これとは別に、民主党は同じく10日、大統領選挙に出馬する党代表は大統領選挙の1年前に党代表ポストから退くという規程に例外を設け、不正腐敗の容疑で起訴された党職者の職務停止条項を削除する党憲・党規改正案を最高委で議決した。李代表一人だけのために政党の憲法まで改めることにも、党内から反発はない。非主流派の人物を総選挙の公認時に排除したからだ。

 韓国政界はこれまで、検察が起訴したり裁判部が判決を下したりしたら、取りあえず尊重する意向を表明してきた。司法システムに対する尊重を基盤として、悔しい部分があるのなら今後法廷で有罪・無罪を争おうとした。しかし李代表の事件以降、民主党はこうした慣例を壊し、党全体が捜査妨害や裁判部脅迫のような行動に出ている。

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  • ▲2018年、当時の李在明・京畿道知事(写真左)と李華永・京畿道平和副知事(写真右)が、京畿道を訪問した北朝鮮の李種革(リ・ジョンヒョク)朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長(写真中央)と記念撮影をしているところ。/聯合ニュース

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