サムスン電子の半導体、「先端」はTSMC・ハイニックスに押され「汎用」は中国が追撃

 サムスン電子はパソコン・スマートフォン向けのメモリー市場に安住し、2020年前後に芽生えたAI半導体市場をなおざりにした。次世代半導体であるAI半導体市場でもライバル企業に押されている。サムスン電子は2015年末、第2世代HBM量産でSKハイニックスに先んじたが、2019年の第3世代以降は逆転された。エヌビディアへのHBM納品がいつ始まるかは不明だ。サムスン出身の半導体業界関係者は「アップルがiPhoneを発売し、モバイル時代に転換した当時、サムスンは(従来の携帯電話ブランドである)エニーコールを捨て、ギャラクシーというスマートフォンブランドを素早く投入し、市場の変化に備えた。しかし、AI半導体時代に迎える際、簡単には方向転換できなかった」と指摘した。ソウル大の劉炳俊(ユ・ビョンジュン)教授は「サムスンがAI時代に投入した技術はスマートフォンに搭載するAI機能以外、目立ったものはなかった」と分析した。パソコン・モバイル中心のメモリーに安住してしまい、AI時代への準備や新事業に対する検討が不足していたのだ。オーストラリアの金融大手マッコーリーは先月、サムスン電子について、「DRAMの売り上げでパソコン・モバイルへの依存度が非常に高い」と指摘した。実際サムスン電子はHBMの研究開発を続けてきたが、予想より需要が少なく、収益性が保障されないという理由で2019年にチームを解体した。当時、サムスン電子のHBM専門人材がかなりのライバル企業に移籍したことが分かった。

 米国が再編している世界の半導体サプライチェーン(供給網)もサムスン電子には不利だ。米国による強硬な技術制裁を受けている中国は、半導体産業の自立で半開発に拍車をかけ、汎用(旧型)半導体の生産を増やしている。このため、サムスン電子の半導体は中国国内での売り上げも伸び悩んでいる。一方、顧客が十分に確保されていない状態で、米テキサス州テイラーに建設を始めたファウンドリーは、稼働開始時期を当初の2024年下半期から2026年に延期した。

■「組織文化を再建する」

 業界はサムスン電子の半導体競争力低下の原因が結局は人材と意思疎通の問題だとみている。半導体は素材と設備、微細回路を描く作業がそれぞれしっかりかみ合ってしなければならない。生産工程で問題が発生すれば、迅速なフィードバックでそれを修正し、歩留まりを上げる。経験豊富で有能な人材と円滑な意思疎通が必要となる。業界関係者は「サムスン電子で重要工程に投入される人材が海外など外部に流出し、新しく補充される人材は経験と情熱が不足しているケースが多い。そうした状況が長く続き問題が大きくなった」と述べた。

卞熙媛(ピョン・ヒウォン)記者、ユン・ジンホ記者

【サムスン電子】事業部門別営業利益と業績推移

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