中国にTHAAD配備を「事前説明」した文在寅政権、米国に抗議されていた【独自】 

監査院、鄭義溶元安保室長など4人について捜査要請

 文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に韓国大統領府が、THAAD(高高度防衛ミサイル)の韓国正式配備を遅らせるため、THAADミサイルの交換に関する韓米の軍事作戦の日程などをTHAAD配備反対派の市民団体に漏らしていたという。そうした状況が監査院の監査で捕捉されたことが18日までに分かった。また監査院は、文在寅政権が中国との外交関係を理由に、事前説明という形で駐韓中国大使館所属の武官にTHAADミサイル交換の作戦名や作戦日時、作戦内容などを事前に知らせた疑いがあることもつかんだと伝えられている。韓国政府が中国に事前説明したことに関連して、米国が、当該軍事作戦の終了後に韓国政府に強く抗議したことも分かった。

【写真】THAAD搬入を阻止する反対派団体関係者たち

 監査院は、これらの疑惑について捜査を通して究明する必要があるとみて、今月初めに鄭義溶(チョン・ウィヨン)元国家安保室長、徐柱錫(ソ・ジュソク)元国家安保室第1次長、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)元国防相、李奇憲(イ・ギホン)元大統領秘書室市民参与秘書官(現・共に民主党議員)の4人について軍事機密保護法違反、職権乱用、業務妨害などの容疑で大検察庁(最高検に相当)に捜査要請した。監査院は、2級秘密に該当するTHAADミサイル交換関連の軍事作戦の内容を市民団体の関係者や外国軍(中国軍)将校に知らせたことは軍事機密保護法違反に当たると判断した、といわれている。大検察庁は18日、「監査院が送ってきた資料についての検討が終わり次第、事件を一線の検察庁に割り当てる予定」と発表した。

 先に昨年7月、韓国軍の元将官の集まりである大韓民国守護予備役将星団は「文在寅政権が2019年12月の大統領訪中に先立ち、THAAD正式配備のための環境影響評価を意図的に遅延させた疑いがある」として監査院に公益監査を請求した。監査院は、将星団の請求のうち一部は事実である可能性があるとみて、昨年10月から特別調査局を投入して国防部(省に相当。以下同じ)・外交部など11の機関を対象に監査を進め、軍事機密流出の疑いがあることをつかんだという。

 THAADは米ロッキード・マーチン社が開発した弾道ミサイル迎撃システムで、北朝鮮の核・弾道ミサイルの脅威に対応する在韓米軍の中心的な武器システムだ。レーダーとランチャー(発射装置)、地対空ミサイルなどで構成されている。中国は、THAADのレーダーが自国の弾道ミサイル発射を早期に探知することに使われかねないとしてTHAADの韓国配備に強く反発してきた。有事の際に中国が発射する大陸間弾道ミサイル(ICBM)をTHAADが早期に探知する場合、米中間の核のバランスが崩れかねないのだ。

 韓米両国は朴槿恵(パク・クンヘ)政権時代の16年にTHAADを韓国に配備することとし、翌年4月に慶尚北道星州郡韶成里のゴルフ場にTHAADを臨時配備した。その後、THAAD反対派の市民団体が「THAADのレーダーから出る電波が人体に害を及ぼしかねない」と主張すると、韓米両国政府は小規模な環境影響評価を行って反対派の主張が事実であるかどうかを検証することとした。しかし17年5月に就任した文大統領は、環境影響評価の実施計画を再検討せよと指示し、17年7月に文在寅政権は、6カ月以内に終わる小規模評価ではなく1年以上かかる「一般環境影響評価」を行った後に、その結果に基づいてTHAADの正式配備を決定したい-と発表した。

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  • ▲2021年5月14日、慶尚北道星州郡草田面韶成里のTHAAD基地の様子。/写真=ニュース1
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