■文大統領肝いりの「群山型雇用」も頓挫
文在寅(ムン・ジェイン)政権は群山市に電気自動車クラスターを育成し、雇用を増やすという「群山型雇用」事業を2019年から開始した。かつて韓国GMの車両を大量生産した群山工場を、新しいEV受託生産基地として活用するというミョンシンは、群山型雇用事業を代表する中核企業に選ばれた。文在寅前大統領は2019年、ミョンシン群山工場で開かれた「群山型雇用共生協約式」に出席し、「群山がEV時代の新たな主人公になるだろう」と述べた。
しかし、当初の期待とは裏腹にミョンシンは受注先となる中国のEVメーカーを探すのに苦労し、群山型雇用事業はほとんど成果を上げられなかった。ミョンシンは2021年、韓国の超小型EVメーカーであるテチャンモータースと小型貨物車「タニゴバン」の受託生産を行う契約を結んだが、群山工場の規模からして非常に少ない生産台数だった。
群山型雇用事業は今年3月、3カ年の第1次計画が終了した。ミョンシン群山工場が中心となり、3年間でで35万5327台のEVを生産する計画だったが、実際の生産台数は4292台で、目標値の1.3%にとどまった。
■ミョンシン、完成車生産から撤退
突破口を見いだせなかったミョンシンは、今年5月に完成車事業から撤退すると表明した。群山工場は自動車部品の製造と自動化設備事業などの用途で使うことにした。電気自動車の需要減少で持ちこたえることができず、完成車の受託生産を断念したのだ。
群山工場が自動車部品の生産基地として、まともに稼働できるかは不透明だ。系列企業のミョンシン産業は米うEV大手テスラの下請け会社に部品を納品しているが、既に米テキサス州に現地工場を置いており、生産を分散するのは難しい。仮に新規受注しても、群山工場の総面積が129万平方メートルに達する点を考えると、部品生産だけでは工場を維持する理由がないというのが業界の見方だ。
ミョンシンは完成車事業からの撤退を決定する際、群山工場の敷地を分割売却し、財務構造の改善を進めると説明した。群山市紙谷洞のある住民は「かつて旧韓国GM工場は群山地域の経済を支えるほど好況を享受した。工場が分割売却されれば完全に歴史の中へと消えることになる」と話した。
チン・サンフン記者