弾劾採決直前の尹大統領、「非常戒厳」の全貌明らかにし収拾策を提示せよ【12月5日付社説】

 3日夜、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の突然の非常戒厳宣言で始まった危機は、155分後、国会が出席議員190人全員の賛成により戒厳解除決議案を可決し、大統領が非常戒厳解除を宣言して峠を越えた。しかし、大統領と与野党がこれからどのようにこの事態に対処するかによって、国が正常化するかどうかの岐路に立たされるだろう。4日夜、韓悳洙(ハン・ドクス)首相、与党・国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)院内代表が尹大統領と1時間にわたって会った。この時、韓東勲代表は戒厳軍の国会進入に抗議したが、尹大統領は「戒厳布告令違反で逮捕しようとしたことに何の問題があるのか」と言ったという。

【時系列を確認】「非常戒厳」宣布から解除まで何があったのか

 尹大統領は戒厳宣言から6時間後の4日未明、非常戒厳を解除し、「決然たる救国の意志により非常戒厳を宣布した」「度重なる弾劾と立法独占、予算独占で国家の機能をまひさせる非道な行為は直ちに中止するよう要請する」と述べた。しかし、野党が多数の国会で、過半数の議決だけで戒厳が解除されることは分かりきっているはずなのに、尹大統領が何のために非常戒厳を宣言し、解除したのかについて、国民が納得できるような説明はなかった。無責任極まりない。

 尹大統領の非常戒厳宣言は、憲法違反・法律違反論争を招いた。韓国の憲法は「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」を戒厳の条件として規定している。最大野党・共に民主党が度を越した予算案強行処理や弾劾案などで暴走をしたとしても、この状況が戦時や事変に準ずる国家非常事態とは見なしがたい。憲法には国会の戒厳解除要求権限が明記されており、戒厳法によって国会活動は停止させることができないようになっているのにもかかわらず、戒厳布告令で国会活動を禁止したことも、違憲に当たる可能性が高い。布告令の中で研修医らストライキしている医療従事者の現場復帰を命じ、「違反時には処断する」という文言が入っている点は、今回の戒厳宣布が法的正当性上の問題だけでなく、その認識自体が時代錯誤的であることを示している。

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