先日、福岡に行ってきた知人は「観光地はどこに行っても韓国人しかいなくて、妙な気分だった」と話す。観光地だけでなく、東京や大阪の繁華街に行っても、日本語よりも韓国語を使う人々の方が多いといったケースが少なくないという。知人の中には1年間で、日本に5回以上も旅行したという人もいる。日本の有名なおいしいお店で食事をしてくるという人もいる。日本が地理的に近い上、円安で韓国旅行客の旅行需要が大幅に増えたためだ。昨年、日本を訪問した外国人観光客3687万人のうち、韓国人は882万人と最も多かった。前年に比べて26.7%も増えた。
何もこれは日本だけではない。昨年の韓国の海外観光に伴う出国者数は、歴代最高を記録した2019年(2870万人)にさらに近づいた。航空統計によると、昨年の国際線旅客数は8892万人と、コロナ禍以前の19年の98%以上にまで回復した。この数値における韓国人のうち、旅行目的を「観光」と書いて出国した数値が海外観光出国者数だ。計算してみると、およそ2825万人だ。韓国人の約56%が昨年、海外を旅行してきたことになる。
海外旅行に行く日本人は毎年2000万人程度で、日本の人口の16%程度だ。中国は毎年10%に相当する1億5000万人が海外旅行に出掛ける。米国の場合、人口の26%に当たる約9000万人が海外旅行に行くという統計がある。「スーパーの買い物で隣国へ行く」という言葉があるほど、国境が陸路で開かれている欧州を除けば、韓国人の海外旅行が世界最多水準ではないかと感じる。
2023年に韓国を訪問した外国人観光客数は1100万人程度にとどまった。同年の韓国国民の海外観光客(2271万人)のちょうど半数だ。このため、観光収支における赤字も100億ドル(約1兆5600億円)に迫っている。昨年も上半期だけで65億ドル(約1兆円)の観光収支赤字を計上した。100億ドルが韓国国内で使われていたら、どれだけ多くの人々の役に立ったかを考えてみる。
韓国の自然の美しさは決して他の国に劣らない。にもかかわらず、韓国国内の観光地は長い低迷から抜け出せずにいる。光る原石をしっかりと手入れできていないためだ。韓国の自然に欧州式の加工が加われば、大きく変わることだろう。しかし、韓国国内の観光地は冷麺やカルビのみすぼらしい看板で覆われており、それさえもぼったくりがなければ幸いだ。KポップやKドラマなど、全世界が喜ぶ韓流文化も観光商品化できていない。今回の旧正月の連休の海外旅行客数がさらに記録を更新しそうだ。
キム・ミンチョル記者