尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の代理人団に所属する尹甲根(ユン・ガプクン)弁護士は4日、尹大統領弾劾審判の5回目の弁論期日を終えた後、「報道機関への電気・水道の供給停止を指示したことはない」と述べて前日に公開された検察の起訴状の内容を否定した。
前日公開された検察の尹大統領に対する起訴状には、非常戒厳宣布直前に尹大統領が、当時の李祥敏(イ・サンミン)行政安全相に対し「(12月4日の)午前0時ごろにハンギョレ新聞・京郷新聞・MBC・JTBC・(金於俊〈キム・オジュン〉氏が運営する)世論調査会社『花』を封鎖して、消防庁を通して電気・水を止めろ」という内容が記された文書を見せた状況が適示された。これについて尹弁護士は「電気・水を止めるというようなのは、兵力が出動した国会こそであって、報道機関や世論調査機関にやる理由はない」とし「話にならない」と語った。
また尹弁護士は、この日の弁論で争点として浮上した、洪壮源(ホン・ジャンウォン)元国家情報院(韓国の情報機関。国情院)第1次長のメモを巡っては「つじつまが合わない」と指摘した。当該メモには「検挙要請」という表現が登場するが、これについて「国情院には捜査権がないので検挙できない」と反論した。その上で「全てが矛盾し、つじつまが合わない」と述べた。洪・元次長は、尹大統領から「防諜(ぼうちょう)司令部を支援せよ」という趣旨の話を伝え聞いて、呂寅兄(ヨ・インヒョン)防諜司令官=当時=と電話をした後、メモを作った-と主張している。
尹弁護士は「引っ張り出すとかなんとか、こういう証言と関連して、首都防衛司令官のような場合、(国会の)中に入ることもできなかった」「兵力が(国会に)入ったというのも、14人程度でしかない」とし「客観的な状況や、その当時国会周辺でどのような展開があったかに照らしてみると、従来知られていた陳述は事実と異なる、と考えるほかない」と語った。
「尹大統領が、まるで湖の上で月の影を追うようなものだ、と言ったのはどういう意味か」という記者の質問に対し、尹弁護士は「私は内乱追い込み、という表現を使う」と答え「多くの部分で『(大統領が)なになにを指示した』『要請した』という証言があるけれども、指示や要求に伴う結果が何もない」と指摘した。
尹弁護士は「ここで残っているのは、大統領が国家の危機的状況だという認識をして、憲法上の権限である非常戒厳を宣布し、それに伴う一連の措置があったということ」「それに伴って一定の不法の事項が発生して被害が生じるとか逮捕がなされたとか、少なくとも逮捕を試みるそぶりでもあったとか、物理的衝突によるなんらかの被害が生じたとか、そういうことは何もない、という話」と語った。
尹弁護士は「結局、残っているのは大統領の正当な非常戒厳宣布」だとし「戒厳に伴って、国家の危機的状況、国憲紊乱(びんらん)秩序を正そうしたもの」だと伝えた。
キム・ナヨン記者