韓国最大野党・共に民主党がトランプ米大統領をノーベル平和賞候補に推薦し、これを米国側にも知らせたという。同党の朴善源(パク・ソンウォン)議員は推薦理由として、「トランプ大統領は1期目に北朝鮮の非核化に向けて努力し、韓半島(朝鮮半島)の平和と韓米同盟に寄与した」ことを挙げた。朴善源議員がこの問題について同党の李在明(イ・ジェミョン)代表と相談する様子が写っている写真も公開された。トランプ大統領は普段からノーベル平和賞に関心を示してきた。共に民主党のノーベル賞推薦は、李在明代表の反米イメージを薄め、トランプ大統領に好感をもってもらおうというためのものとみられる。しかし、どんな行為でも常識の範囲内から大きく外れれば嘲弄(ちょうろう)の種になりかねない。
【表】李在明代表「日本の防衛力強化は韓国にとって脅威にはならない」 対日姿勢に変化
李在明代表はかつて、「米軍は占領軍だ」と言い、2017年には中国メディアとのインタビューで「大統領になったら終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を撤回する」と語った。昨年の総選挙時には、「なぜ中国にちょっかいを出すのか。ただ『謝謝(シエシエ=ありがとう)』と、台湾にも『謝謝』と言っておけばいい」と言っていた。共に民主党は大統領弾劾訴追案の弾劾事由に尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の韓日米協力と中国・北朝鮮に批判的政策を挙げたが、後に削除した。米議会調査局(CRS)はこのような理由を根拠に李在明代表に批判的な報告書を出した。共に民主党がトランプ大統領の歓心を買おうとし始めたのは、李在明代表に対して米国の官民で不信が続けば、韓国大統領選挙に不利に働く可能性があるからだろう。そうした点からみると、まるで「賄賂」のように思えるトランプ大統領のノーベル賞推薦は赤面ものだ。
共に民主党がトランプ大統領ノーベル賞推薦の理由として挙げた「韓半島の平和と韓米同盟への貢献」も荒唐無稽(むけい)だ。トランプ政権1期目における米朝の3回にわたる首脳会談イベントは、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の非核化詐欺が通じずに終わり、韓米合同演習だけが中止された。これが韓半島の平和であり、韓米同盟の発展だろうか。
トランプ政権のホワイトハウスはこのほど、「1期目と同様に北朝鮮の『完全な非核化』を追求する方針だ」と述べた。対話の目標は核軍縮や凍結ではなく、非核化だという原則を強調したものだ。トランプ大統領が文在寅(ムン・ジェイン)前大統領や金正恩総書記のような偽物ではなく、真の北朝鮮の非核化を実現するなら、共に民主党が推薦しなくても世界中から拍手を浴びてノーベル平和賞を受賞することになるだろう。