韓国国会聴聞会 歴史に刻まれた仰天証言の数々【萬物相】

 韓国でファッションデザイナーとして活躍した故アンドレ・キムの人生は、1999年の「服ロビー事件」を巡る国会聴聞会の前と後に分かれる。アンドレ・キムが参考人宣誓の際に「アンドレ・キムです」と言うと、法制司法委員会の委員長は「本名を言ってください」と返した。「金鳳男(キム・ボンナム)です」。フランスに留学したとして名を馳せたアンドレ・キムの故郷(旧把撥)と本名(金鳳男)が初めて明らかになった。場内では笑いが起こった。それでもアンドレ・キムは議員たちに「私のファッションショーにぜひ来てください」と言い残し、聴聞会場を後にした。しかし、家に帰ると家族に「みんなで移民しようか」とつらい気持ちを吐露したという。天安にある彼の墓碑には、英語で「アンドレ・キム」、そして漢字で「開寧金公鳳男之墓」と刻まれている。

【写真】国会聴聞会で証言する巫女「緋緞ア氏」

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の初期には、「積弊清算」と言ってしまえば不可能なことはなかった。2018年10月10日、野球韓国代表の監督だった宣銅烈(ソン・ドンヨル)氏が国政監査に呼ばれたのも、そのような流れからだった。宣監督は兵役免除の特例を与えるために特定の選手を代表に選んだとされ、その背後に「積弊勢力」の存在があると言われたのだ。共に民主党の議員が叱責すると、宣監督は「申し訳ございません」と頭を下げざるを得なかった。その後、韓国代表チームの専任監督制は廃止された。偶然かどうか分からないが、野球韓国代表の成績もその時から急降下し始めた。その日は野球関係者の間で「恥辱の日」と呼ばれた。

 国会議員たちは、注目を集めるためなら何でもする。証人の採択は最適な道具だ。2023年の国政監査で、フルーツに薄い飴をコーティングした中国生まれのスイーツ「タンフル」の販売チェーンの代表が国会に呼ばれた。「子どもの肥満、子どもの糖尿が増える。責任を取るべきだ」と追及され、代表は「改善します」と答えた。学生たちの好みが変わったのか、タンフルブームはその時を境に下火になった。朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の隠し財産が「300兆ウォン(約31兆円)」あると主張した民主党の議員は、芸能人のユン・ジオさんを国会の懇談会に呼び、ユンさんの対国民詐欺劇の舞台を用意してしまった。

 人間ではなく動物もたびたび国会に呼ばれた。野生動物の違法捕獲を指摘するとしてアオダイショウを持参した議員もいれば、重金属汚染と無関係だと主張するために自身の選挙区のテナガダコを持参した議員もいる。「動物虐待だ」として国会に動物の持ち込みを禁止する法案が発議されたこともある。

 非常戒厳を巡る国会聴聞会に、逮捕されたノ・サンウォン元韓国軍情報司令官が過去に何回も会っていたとされる巫女(みこ)、「緋緞(ひたん)ア氏」が証人として出席した。野党の議員たちは巫女に対し、ノ元司令官の何を占っていたのか、戒厳の話は出たのかについて集中的に問い詰めた。非常戒厳と巫女を何としても結び付けようとしたが、「占いの内容に基づいて戒厳を宣言した」という明確な答えは聞かれなかった。硬い表情の将星たちの前で明るく笑う巫女を見ると、喜劇なのか悲劇なのか分からなくなってくる。

鄭佑相(チョン・ウサン)論説委員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=イ・チョルウォン
  • 韓国国会聴聞会 歴史に刻まれた仰天証言の数々【萬物相】

right

あわせて読みたい