国民に対してではなく、曺国に「限りなく申し訳ない」と語る文在寅前大統領【2月11日付社説】

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は10日にメディアのインタビューに応じ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)検察総長(検事総長に相当)を抜擢したことについて「後悔している」とした上で、曺国(チョ・グク)元韓国法務部(省に相当)長官に対しては「限りなく申し訳ない」と述べた。尹錫悦検察総長による曺国氏捜査についても「検察改革に対する報復だ」と批判した。「曺国氏とその家族は何もしていないのに、謂れのない被害を受けた」という意味だ。

【写真】曺国氏と文前大統領(2023年11月)

 曺国氏による不法行為とその破廉恥な行動は大法院(最高裁判所に相当)の確定判決ですでに明らかになっている。まず高校生だった娘が医学専門論文の著者になることからおかしかった。その娘の医学専門大学院入試の際には虚偽のインターン確認書と大学の表彰状を提出し、息子の入試では虚偽のソウル大学インターン確認書も使った。裁判所は「入試制度の公正性に対する社会的信頼を傷つけた。事態は深刻」と指摘した。この不正行為は長官候補だった時に表面化したが、任命は強行された。公正さと正義を信じていた国民の多くが曺国氏の偽善とネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)に衝撃を受けた。正常な感覚なら曺国氏抜擢をこそ後悔すべきではないか。

 文前大統領が任期中に国民と国家に及ぼした被害は数え切れない。歴代政権で最悪の不動産価格暴騰を招き、多くの若者や国民を絶望に追い込んだ人物がまさに文前大統領だ。そればかりか賃貸借三法の強行で伝貰(チョンセ、家賃の代わりに入居時に高額の保証金を預ける賃貸借方式)価格も高騰した。「馬車が馬を引っ張る」と比喩される「所得主導成長政策」では良質の雇用が一気に減り、高齢者を含むフリーターが一気に増加した。反企業・親労組政策で成長率は低下し、貧富の格差も拡大した。税金のばらまきに伴い国の債務は1000兆ウォン(約104兆円)を突破した。脱原発政策の影響で世界トップレベルの競争力を持つ原発産業を窮地に追い込んだ。正常稼働中の原発を廃炉にするため、その経済性を捏造(ねつぞう)することもあった。4大河川の堰(せき)を破壊したため干ばつ時には深刻な水不足を招いた。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記による非核化詐欺も積極的に後押しした。金正恩総書記はその瞬間にも核兵器を製造していた。また金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が北朝鮮へのビラ散布を禁止する法律を作れと発言すると、直ちに法律を制定した。中国に対しては「THAAD(在韓米軍の高高度ミサイル防衛システム)三不」を約束し、軍事主権を引き渡そうとした。西海で韓国の公務員が射殺され遺体が燃やされた時は「越北」に仕立て上げた。謝罪すべき失政を山のように積み上げながら、国民には一度も謝罪したことのない人物が曺国氏には謝罪したいそうだ。

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  • ▲青瓦台(韓国大統領府)内を並んで歩く文在寅(ムン・ジェイン)大統領と尹錫悦(ユン・ソンニョル)新検察総長(検事総長に相当)=いずれも当時=。この日、文大統領は尹錫悦・検事総長に任命状を授与した。2019年7月25日撮影。/news1
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