一例を上げればHD現代重工業が建造し昨年12月に就航した駆逐艦「正祖大王」は米国のイージス駆逐艦とほぼ同じ仕様で、しかも建造費用は半分、建造に要する期間は3分の1にすることも可能だという。これに対して日本の造船業はその命脈は維持しているが、世界市場でのシェアはわずか4%台にまで落ち込んでいる。
韓国造船業のこのような競争力は今後トランプ政権による無差別関税など通商圧力の中で交渉カードになるとも期待されている。造船分野での積極的な協力の見返りに、自動車や半導体、鉄鋼などそれ以外の主要産業に対する圧力を弱めることも考えられるからだ。
■30年間で1500兆ウォンの米軍艦市場波及効果…韓国にとって最大の好材料
米議会予算局によると、米海軍の艦艇数は現在295隻で、これを2054年までに390隻にまで増やす計画だが、老朽化した艦艇は退役させるため、今後364隻の新しい艦艇が投入されるという。その費用だけで総額1兆750億ドル(約165兆円)が投入されるとの見方もある。造船業界では「その多くが同盟国に発注された場合、前例のない新しい市場が開かれるのでは」と期待の声も上がっている。
韓国の造船業界はトランプ大統領当選前から米国市場の拡大に向け準備を進めてきた。ハンファオーシャンは昨年8月に韓国の造船メーカーで初めて米海軍のMRO(メンテナンス)事業を受注し、昨年末には米フィラデルフィアのフィリー造船所買収も完了した。HD現代重工業も現在1兆ウォン(約1100億円)規模の艦艇事業を2030年までに3倍に拡大する計画だ。これらの期待を受けこの日は株価も大きく上昇した。HD現代重工業は前日よりも15.36%急騰し、またハンファオーシャン(15.17%)やサムスン重工業(5.98%)も軒並み上昇した。
イ・ジョング記者、鄭漢国(チョン・ハングク)記者