4000ページ分の利敵表現物を所持していた全国民主労働組合総連盟(民主労総)の元幹部ヤン某を検察が摘発し、先月起訴したことが18日までに分かった。民主労総では幹部のソク某が2018年9月に中国広州で北朝鮮工作員と接触し、指令を受けた容疑などで昨年11月1日に一審で懲役15年の実刑が宣告されたが、ヤン某はこのソク某の共犯だった。
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水原地検公共捜査部(許勲〈ホ・フン〉部長検事)は1月31日、ソク某と共に中国で北朝鮮工作員と接触した容疑、また12件の利敵表現物を所持した容疑(国家保安法上特殊潜入・脱出、称揚・鼓舞など)などでヤン某を在宅起訴した。
与党・国民の力の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員事務所が韓国法務部(省に相当)から提出を受けたヤン某らに対する訴状によると、ヤン某が所持していた2003年発行の519ページの分量の「長編史話・壇君」は古朝鮮の始祖・壇君を素材としつつ、実際は金日成(キム・イルソン)主席を称賛し美化する内容だったという。また427ページの分量の88年発行「金日成選集1巻」は「革命闘争の主人は人民大衆であり、人民大衆が組織・動員されれば革命闘争で勝利できる」などと記載されていた。これらはほとんどが北朝鮮体制を称賛する内容だった。
ヤン某が所持していた利敵表現物は合計3953ページ、「政治経済学概論-主体の政治経済学」は「韓国は米国の植民地」「北朝鮮体制が理想的」と宣伝しており、また「主体思想叢書」2-10巻には金日成の革命・主体思想を「広い道を切り開く不滅の革命思想」と称賛する内容もある。
検察はヤン某に対し、2018年9月に中国広州の越秀公園付近でソク某、民主労総京畿中部支部事務次長のキム某と共に北朝鮮工作員と接触した容疑を適用した。これらの容疑により23年5月に最初に起訴されたソク某は一審で懲役15年の実刑判決を受け、現在二審が行われている。
検察はヤン某とキム某を利敵団体「支社」の主要メンバーとにらんでいる。この組織は北朝鮮文化交流局から国家機密の探知・収集、また民主労総を通じた韓国の政党や社会団体による政治活動への介入を目的とする具体的な指示を受けており、彼らはこれを実行してきたことが捜査により分かった。ヤン某は「会計課長」、キム某は「第1チーム長」を務めていたという。責任者の「支社長」だったソク某は北朝鮮と直接通信するなど連絡をやりとりし、組織員らに個別の任務を与え活動結果を北朝鮮に報告する任務を担当していたようだ。
羅議員は「大規模な反政府集会を率いている民主労総の正体が明らかになった」「スパイ法改正が握りつぶされた現状が嘆かわしい」とコメントした。
イ・ミンジュン記者