歯科訪問診療 日本は毎年1100万件、韓国は訪問診療自体がない

日本は高齢者の自宅・介護施設などを訪ねて検診・舌苔除去・入れ歯の修理を実施
約1万4000カ所の歯科が往診に参加、飲み込み能力をチェックすることで「口腔老衰」を防ぐ
韓国は老人ホームなど300万人が死角地帯、「訪問歯科」の必要性が叫ばれる

 一方、韓国は昨年末、超高齢社会に突入したにもかかわらず、訪問歯科診療制度やシステム自体が存在しない。歯科疾患があったり、口腔機能に問題があっったりしても、何とかして歯科医を訪れなければ診療を受けることができない。このため、療養病院1400カ所の入院患者60万人、療養院入所者30万人、体が不自由なため在宅療養サービスを受ける150万人、長期入院重患者、体の不自由な障害者など約300万人の歯の疾患、入れ歯の不良、歯周炎などが放置されている。歯周炎は全身に広がり、心臓の炎症や敗血症を引き起こすことがある。超高齢社会を迎え、肺炎は全体の死亡原因の3位にまでのし上がった。高齢者の肺炎は、主に食べている途中、食べ物や水が肺に入って生じる誤嚥性肺炎である。

 チョン・ヨンス(延世大学歯科学部長)大韓歯科病院協会会長は「体の不自由な人でも口腔管理を定期的に行い、少しでも長く健康に生活できるようにしなければならない」とし「私たちも訪問歯科診療システムと、飲み込みやかむ力などの口腔機能を評価する口腔検診を早急に導入しなければならない」と促す。

■老衰を抑える口腔機能検診

 日本は歯の疾患だけでなく、飲み込みや発音、舌の動きなどが衰える「口腔老衰」という概念を新たに導入した。口腔機能低下症という疾患を確立し、口腔健康が全身健康のゲートという意味で高齢者を対象に口腔機能検診に積極的に乗り出している。

 口腔機能検診を確立し、先駆者として活動する東京健康長寿医療センターの平野浩彦歯科・口腔外科部長は「よくかんで、よく飲み込んで、よく話す機能を携えた口腔が健康であってこそ、全身の健康が保たれる」とし「口腔老衰予防が老年期の身体虚弱やうつ病、社会的孤立を防ぐ最初の関門」と力説する。

 日本では、口腔機能検診は町内の歯科医院でも10-15分程度で受けられるように簡易化され、これを健康保険で支援している。検診項目は7種類で、このうち三つ以上の異常が見つかれば、口腔機能低下症と診断される。検査項目は舌苔量を測定する口腔衛生評価、口腔乾燥を評価する舌湿潤度測定、上下奥歯のかむ力の測定、「カ、パ、タ」などの音をそれぞれ5秒間に発音できた回数の測定、舌が口蓋を押す力の測定、食べ物をよくかんで食べるそしゃく力の測定などだ。飲み込み機能の評価は、日常生活において水と食べ物をよく飲み込んでいるか、アンケート調査で評価する。

 平野歯科部長は「口腔機能に問題がある高齢者を早期に発見して改善する、リハビリプログラムを適用する」とし「超高齢社会では口腔検診や訪問診療といった先取り治療管理体系が社会をより健康にするほか、全体の医療費を節減することにつながる」とした。

金哲中(キム・チョルチュン)医学専門記者

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲グラフィック=イ・チョルウォン
  • ▲グラフィック=イ・チョルウォン

right

あわせて読みたい