ついにウクライナ軍幹部と会う機会が得られた。この幹部と話をする中で「北朝鮮軍派兵の事実を認めない韓国人もいる」と伝えたところ「ここにわれわれが生け捕りにした捕虜がいるのに、どういうことか」と驚いた様子だった。彼は隣にいた副官と言葉を交わした上で「直接捕虜に会ってみるか」「今日は難しそうだが、連絡するので少し待っていろ」と言ってきた。このようにして最後のハードルを越えた。
2人の北朝鮮の青年に会う際にはフランスのパリから空輸したキムチカップラーメンとチョコパイを持っていった。捕虜収容所のドアの前には国際赤十字社の関係者がロシア軍捕虜に会いに来ていた。彼らの手には数々の食糧に加え「ラッキーストライク」というたばこが数十カートンあった。「たばこも持ってくればよかった」と思った。
しばらく待機してから北朝鮮の若者2人についに会えた。そのベッドの頭の部分には予想通り白い紙コップの灰皿が大切に置かれてあった。ここ1カ月でかなり多くのたばこを吸ったのが一目で分かった。突然やって来る負傷の痛み、すぐ横で死んでいった仲間の兵士の記憶、捕まったら自爆せよとの命令を守れなかった恐怖、息子を戦場に送りその後何も知らされていない両親への思い…。夜になるとこれら全ての苦痛が一気に頭をよぎるだろう。そんな時は一本のたばこがどれほど恋しくなるだろうか。
ラーメンと菓子が入ったかばんは看守に渡すしかなかった。たばこも少し入れてほしいと頼んだ。北朝鮮軍兵士には「一切何も考えず、まずは体を回復させることに集中しましょう」と声をかけた。2人はうなずき「もしまた来られるのなら、外の様子について知らせてほしい」と言ってきた。
韓国ではどこにでもあるたばこ、ラーメン、チョコパイ。しかし韓半島から7000キロ離れた欧州の戦場で、いつ死んでもおかしくない状況を何度も乗り越えた2人の若者には、これらが「生きること」の大切さを伝えるわずかな慰めになるかもしれない。彼らには繰り返し生きることへの希望を、またより多くの北の若者たちに死ではなく命の大切さを伝える機会と考えるなら、これだけで捕虜収容所にいる2人の若者に万難を排してでも会う十分な理由になったはずだ。
パリ=鄭喆煥(チョン・チョルファン)特派員