■米アメリカ級揚陸艦をベンチマーク
中国が今回進水させた四川は、まさにこのアメリカ級強襲揚陸艦をベンチマーク(他者に学んで改善する手法)した艦です。全長263メートル、全幅43メートルで、サイズは少し大きめ。甲板の右側に二つの管制塔を配置しました。一つは航空、もう一つは航海をコントロールするという形で分離したのが特徴だといいます。
中国は、米国よりも不足している強襲揚陸艦戦力を補完するため、2021年から排水量3万6000トン、各種ヘリおよそ30機を搭載できる075型強襲揚陸艦を就役させています。現在、「海南」など3隻を保有しています。しかし、戦闘機を搭載する米国の強襲揚陸艦に比べ戦力が足りないとみて、今回「無人機空母」の076型強襲揚陸艦を追加で進水させました。
この揚陸艦は23年10月に建造に入り、わずか1年2カ月で進水に至るほどの超短期間で建造が完了しました。中国海軍は、早ければ26年末、遅くとも27年までには試験航海を終え、実戦配備に入るという日程を組んでいます。米国が予想しているように、中国が27年に台湾侵攻に乗り出すとしたら、上陸作戦の責任を負う強襲揚陸艦になることもあり得ます。
中国は昨年末に「世界初の無人機空母」と称して四川進水を派手に宣伝しましたが、専門家の間では懐疑論も持ち上がっています。中国がVTOL機開発において困難に直面する中、「窮余の策」として無人機空母を作ったのではないか…というのです。
中国は昨年11月の珠海エアショーで、3隻目の空母・福建に搭載するステルス戦闘機J35を公開しました。陸上機のJ35Aと艦載機のJ35の二つのモデルを出しましたが、米国のF35BのようなVTOL機は出てきませんでした。VTOLに必要な技術を開発できなかったのです。
四川を無人機空母として建造したのは、VTOL機の代わりに、開発中の無人戦闘機を搭載して米国の強襲揚陸艦に対応しようとする狙いがあるものと分析されています。電磁式カタパルトを設置したのは、無人戦闘機が十分な武器と燃料を積んで発艦できるようにしたい、という意味です。
(後編に続く)
崔有植(チェ・ユシク)記者