「窮余の一策」で登場した中国の無人機空母(後編)

■トランプ就任を前に急いだ進水

 中国が、VTOL機の技術を確保できていない状況で昨年末に大急ぎで5万トン級の大型強襲揚陸艦を進水させたのには、わけがある―という分析が登場しています。過去2年間の軍部の腐敗でごちゃごちゃとした内部の雰囲気を引き締めるため、という目的がその一つです。腐敗問題を解決し、再び軍事力現代化に乗り出すというわけです。ドナルド・トランプ大統領の就任を前に、中国の強大な造船能力と海軍力を誇示したい、という意図もあるとみられています。ヤン・タイウィアン研究員は「トランプ大統領就任前に重い一発を放つもの」と評しました。

 076型強襲揚陸艦は台湾侵攻時に上陸作戦を担当するだけに、最も緊張したのは台湾です。台湾は、中国が既存の075型強襲揚陸艦4隻に076型4隻を加え、計8隻の揚陸艦体制を構築するだろうと予想しています。

 国防安全研究院は、台湾侵攻時に中国は075型と076型強襲揚陸艦をペアにして上陸作戦に乗り出すだろうとみています。076型揚陸艦に搭載した無人機は上陸地点一帯の制空権を掌握し、台湾の空軍基地やレーダー施設、防空砲台などを攻撃し、両揚陸艦に積んでいる攻撃用ヘリは台湾沿岸の防御兵力を除去する、というスタイルで役割を分担するというわけです。

 ただし台湾は、076型強襲揚陸艦がきちんとした戦闘力を備え得るかどうかについては、疑念を持っています。台湾国防部(省に相当)傘下のシンクタンク、国防安全研究院は、今年1月8日に発表した『2024中国軍発展評価報告』において「076型強襲揚陸艦が電磁式カタパルトを装備し、作戦半径の広い固定翼戦闘機を積むことができるようになったという点で、脅威は強まった」としつつも「甲板の着艦区域と発艦区域が重なっていて発着艦の効率は低く、アレスティングギアの安全性も空母には及ばず、実際の作戦能力がどれくらいであるかについては注視すべき」と記しました。

 076型強襲揚陸艦が事実上、無人戦闘機を搭載する無人機空母の役割を果たすようになるのであれば、無人機の攻撃に備えて電子戦能力を強化しなけれならない、という主張も出ました。国防安全研究院傘下の国防戦略与資源研究所に所属する江炘杓・助理研究員は「無人機が空中戦の優先を確保しようと思ったら、電子戦攻撃から完全に自由であらねばならない」とし「強力な防空システムと電子戦環境に直面したら、無人機の優位は制限されるほかない」と指摘した上で「台湾軍は電子戦能力を強化し、周到綿密な電子戦計画を樹立すべき」と語りました。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】中国の無人偵察機「WZ7」

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