2月24日、国連安全保障理事会では珍しい光景が展開された。ウクライナ戦争発生から3年がたったこの日、関連の決議案を巡って常任理事国の米国が、これまで事あるごとに対立していた中国・ロシアと「賛成」で久しぶりに意見が一致したのだ。2月21日に米国が提出したこの決議案は、ロシアによる侵攻の事実とウクライナの領土保全について明記せず、英国やフランスなど欧州諸国の反発を招いた。これは、迅速な終戦のためにロシアをあえて刺激する必要はないというドナルド・トランプ米大統領の考えが根底にある。米国は最近、ロシアによる侵攻の事実までも否定し、4年目に入ったこの戦争の物語を書き換えようとしているのだ。
決議案は、修正案が5回も否決されるという長い過程を経て、賛成10票、反対0票、棄権5票で可決された。常任理事国である英国とフランスが棄権し、非常任理事国のデンマーク、スロベニア、ギリシャも英仏に同調した。米・中・露と欧州の立場が対立する中、決議案が可決に必要な票数(9票)をかろうじて上回って成立したのは、韓国がキャスティングボートの役割を果たしたからだ。2024-25年の非常任理事国に就任した韓国は、シエラレオネ、ソマリア、パキスタン、パナマなどと共に、米・中・露が主導した決議案の採択に同調した。
国連安保理は第二次世界大戦以降、世界の安全保障秩序において最後のとりでと考えられてきた。武力による他の主権国家への侵攻や核開発、テロなどの違法行為があれば、理事国が協議し、それを糾弾し責任を追及してきた。米中の対立やウクライナ戦争を経て「張り子の虎」になったと評されることもあるが、韓国は過去80年間、安保理によって維持されてきた自由主義国際秩序の最大の恩恵を受けた国だった。特に、6・25戦争(韓国戦争)発生からわずか3日後の1950年6月27日、国連軍を韓半島に派遣するという決議案が安保理を通過し、新生国家・大韓民国は九死に一生を得た。これは、ロシア(ソ連)が会議を欠席し、拒否権を行使しなかったおかげで実現した奇跡だった。韓国が昨年、11年ぶりに安保理理事国入りすることができたのは「今度は私たちが平和を次世代に引き継ぐ責務を果たす番だ」という韓国のストーリーが、多くの加盟国の心を動かしたからだ。
韓国政府が、ロシアの責任を追及せず侵略を受けたウクライナさえも無視した決議案に賛成したのは、「関税爆弾」と在韓米軍駐留経費の増額を予告したトランプ新政権との関係に配慮したからだろう。しかし、北朝鮮の核ミサイルを頭上に載せて暮らす韓国が「攻撃が報われて、ジャングルの法則(弱肉強食)がまかり通るのなら、世界のどこにも平和は存在しない」(フランスの国連大使)という西側の訴えから目を背けたことは実に寂しいことでもある。北朝鮮が再び核実験や韓国に対する挑発を仕掛けてきたら、そして再び韓半島に砲声が鳴り響くという最悪の事態になったら、その時に我々がどんな論理を引っ提げて国際社会に支援を訴えることができるのか。表決が終わった後、韓国の国連大使が「今回の戦争はロシアによる主権国への侵略戦争」と述べたが、ひきょうな言い訳に聞こえた。
ワシントン=キム・ウンジュン特派員