ただし、これが弾劾に値する重大な違憲・違法なのかどうかも判断しなければならない。憲法裁は、最近宣告が行われた李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長弾劾審判事件で争点となった「放送通信委員2人議決」を違法行為と判断しつつも、罷免すべきほどに重大な事由ではないという理由で弾劾案を棄却した。
今週中に韓首相の弾劾棄却決定が出るならば、今月中旬から下旬ごろと予想されている尹大統領の弾劾審判宣告に先立って韓首相がまず職務に復帰することになる。ある憲法学者は「国政の空白を埋めるためにも、憲法裁が韓首相から宣告するのが正しい」としつつ「恣意(しい)的な裁判進行でたびたび物議を醸しているので、論争を避けるという観点からも、憲法裁が韓首相の事件をまず処理するのではないか」と語った。
逆に、憲法裁が韓首相への宣告を尹大統領への宣告よりも後に遅らせる可能性も、完全には排除できない。これまで憲法裁は「大統領弾劾審判を最優先で審理する」という方針をたびたび明らかにしてきた。憲法裁関係者は「韓首相に対する宣告時期は(国政の空白など)対外・対内状況まで含めて裁判官が総合的に考慮するだろう」と語った。憲法裁は三・一節の連休にも、尹大統領の弾劾審判結果と宣告日指定のため個別に記録検討を行ったと伝えられている。
■韓首相復帰時に馬恩赫候補は任命されるか?
韓首相の弾劾が棄却されて職務に復帰した場合、最初の宿題は馬候補者を任命するのかしないのかを決定することになる見込みだ。韓首相の立場から見ると、憲法裁判官候補者の任命拒否が「違憲」だという憲法裁の判断が出た状況で、ひたすら任命拒否にこだわるのは容易ではない。逆に、親野党の傾向が鮮明な馬候補者を任命した場合は尹大統領の弾劾審判に決定的な影響を及ぼしかねない、という点も大きな負担だ。政界からは「崔権限代行も韓首相が復帰することを念頭に置いて、馬候補者の任命を遅らせているものとみられる」という声が上がった。
キム・ヒレ記者、キム・ナヨン記者