太陽電池・鉄鋼分野のゾンビ企業を延命させた中国…「不動産バブル崩壊時のように共倒れの危機」

■地方政府の支援でゾンビ企業清算できず

 問題は政府による補助金で安易に経営してきたため、生産能力が需要に比べ過多である点です。中国の太陽電池生産能力は昨年時点で1200ギガワットを超えました。 全世界の年間設備需要(500~600ギガワット)の2倍以上に達します。そのため中国企業同士でで激しい価格競争が繰り広げられ、巨額の損失につながりました。

 供給が多過ぎるならば、競争力が劣る企業を淘汰させる必要がありますが、中国ではそれが容易ではありません。安価な用地提供、低利融資、補助金で各地の地場太陽電池メーカーを育成してきた地方政府が地域経済の縮小と失業率上昇などを懸念し、ゾンビ企業の倒産を阻んでいます。CPIA主導で過当競争の自粛、業界再編などを目指していますが、実現の可能性は高くありません。

 鉄鋼業界も同様の状況です。1月27日までに業績を発表した上場企業のうち、18社中14社が赤字で、赤字規模は合計で308億元に達しました。鞍山鋼鉄は昨年の赤字が71億元にも上りました。中国の鉄鋼産業はただでさえ供給過剰なのに、不動産市況低迷による直撃も受けました。

■供給過剰、不動産バブルのような業界崩壊も

 中国国内で消化できていない太陽電池・鉄鋼製品は原価にも満たない価格で国際市場にあふれ、多くの国に被害を与えています。ブラジルは南米における代表的な親中国ですが、昨年10月には中国製鉄鋼製品に25%の関税をかけました。韓国政府も中国製厚板に最高38%の反ダンピング関税の適用を検討しています。

 トランプ政権は中国のダンピング輸出に対する強硬な対応を予告しました。ベッセント米財務長官は2月25日、訪米したオーストラリアのチャーマーズ財務相にトランプ政権の関税政策を説明し、「中国はもっと内部消費が必要だ。内部のデフレ圧力を他国に転嫁してはならないという点を断固として主張すべきだ」と述べました。米国は中国製のダンピング製品が市場にあふれないように関税障壁を大幅に引き上げようとしています。

 中国に30年住んだウトケ元在中国欧州連合(EU)商工会議所会頭は2月24日、スイス紙への寄稿で、「中国の生産過剰問題が臨界に近づいており、不動産バブル崩壊当時のように数千社の企業が破産するだろう」と指摘しました。ウトケ氏は「過剰生産を支えてきた地方政府の資金源が枯渇しており、世界的に保護貿易主義も高まっている。過剰生産体制が解体される過程は非常につらいものになるだろう」と予測しました。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】中国江蘇省塩城市にある通威の太陽電池工場の内部

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲写真=UTOIMAGE
  • 太陽電池・鉄鋼分野のゾンビ企業を延命させた中国…「不動産バブル崩壊時のように共倒れの危機」

right

あわせて読みたい