キム・セロンたちを死に追いやった真犯人・ビッグブラザー【コラム】

怒りと嫌悪を利用してユーチューバーと芸能メディアをたきつけるビッグテック

誹謗中傷の裏に隠れた真犯人

「悪魔のアルゴリズム」を変えるべき

 メタ社のザッカーバーグ氏やネイバーの李海珍(イ・ヘジン)氏は、納得できないかもしれない。ロヒンギャ族の存在すら知らなかったかもしれないし、映画『アジョシ』の少女(故キム・セロンさん)が大人になったことも知らなかったかもしれない。しかし、「ユーザーの参加を最大化すること」は、その当時も今もビッグテックのアルゴリズムの第一原則だ。紙の新聞など、いわゆるオールドメディアがこの女優の私生活を記事にせず、品位を落とすことを避けている間に、収益創出を夢見るユーチューバーやネットメディアは「飲酒運転で自粛中に酒盛り」「セルフ熱愛説、鳥肌ものの言動」といったヘイトコンテンツを量産していった。

 SNS(交流サイト)やビッグテックのプラットフォームの必要性を否定するわけではない。より積極的な自浄装置とアルゴリズムの修正が必要だと言っているのだ。メリットはたくさんあるのに、今のユーチューブとX(旧ツイッター)とフェイスブックとTikTokは「真実を奨励するのではなく、フェイクと虚構に褒賞を与える誤った増幅装置」(ユヴァル・ノア・ハラリ著『NEXUS 情報の人類史』)に近い。

 好きな逸話に、5歳の少年と父親によるゲームのエピソードがある。ゲームで負けた少年のパソコン画面に「fail(失敗)」という表示が出る。英語の意味を理解しているのか気になった父親が尋ねる。「お前、failがどういう意味か知ってるのか?」。すると、少年は無邪気に笑いながら答える。「うん、パパ。『もう一回やれ』って意味だよ」

 失敗ではなく、もう一度やれ。一度転んでも再び立ち上がれる社会。再起が可能になるよう「悪魔のアルゴリズム」を変えなければならない。恐竜が自分の首に鈴を付けることはできない。法と政治が圧力を掛け続けなければならないのだ。

魚秀雄(オ・スウン)記者

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