裁判所が7日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する勾留取り消し請求を認める決定をした。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)と検察の尹大統領に対する捜査・起訴は違法だったという尹大統領側の主張を、裁判所が受け入れたのだ。法曹界からは、今回の決定が、今後行われる刑事裁判と憲法裁判所の弾劾審判の結論に影響を及ぼすこともあり得るという見方が出ている。
【写真】尹大統領の拘束取り消し決定…官邸前に集まった支持者たち
ソウル中央地裁刑事25部(裁判長:池貴然〈チ・グィヨン〉部長判事)は7日、尹大統領側が請求した勾留取り消しを認めた。裁判所は、検察が勾留状態の尹大統領を起訴した時点で既に勾留期限を9時間45分超過していた、と判断した。また、仮に勾留期限を超過していなくとも、尹大統領側が問題にしている公捜処の内乱罪捜査権を巡る論争等について明確な定めや判例がないことから、まずは尹大統領を釈放して、その状態で裁判をするのが正しいとみなした。裁判所は「手続きの明確性を期して、捜査過程の適法性に関する疑問の余地を解消することが望ましいため、勾留取り消し決定を行うことが相当」だとし、「こうした論争をそのままにして裁判をしたら、今後、破棄事由や再審事由が生じかねない」と指摘した。
この日の裁判所の決定は、尹大統領が1月15日に公捜処に逮捕されてから51日ぶりのこと。当時、公捜処はソウル西部地裁で尹大統領の逮捕状と勾留状を相次いで発布してもらった。続いて検察が尹大統領の身柄の引き渡しを受け、同月26日にソウル中央地裁に勾留状態のまま起訴した。これに対し尹大統領側は「内乱罪の捜査権がない公捜処が尹大統領を違法に勾留し、検察は勾留期限が満了した後に起訴した」として、2月4日に勾留取り消しを請求した。2月20日に裁判所が尋問を行った後、半月を経て結果が出たのだ。
検察はこの日、「裁判所の決定に対して即時抗告するかどうかを検討中」とコメントした。検察が裁判所の決定から7日以内に即時抗告した場合、結論が出るまで釈放は保留されるが、即時抗告を放棄したら、尹大統領は釈放される。尹大統領側は「検察は直ちに大統領の釈放を指揮すべき」と要求した。
■勾留取り消しとは
裁判所が、勾留の事由がないか消滅したと判断して勾留を取り消す制度。検察が抗告せず勾留取り消し決定が確定したら、被告人は即時釈放される。
兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者、パン・グクリョル記者