「馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補者の任命保留は誤り」だとする憲法裁判所の決定にもかかわらず任命が遅延していることを受け、馬候補者に臨時に憲法裁判官の地位を付与してほしいという仮処分申請が18日、憲法裁に受理された。野党は崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行に「馬候補者を任命せよ」と圧力をかけている。
法務法人島潭の金廷桓(キム・ジョンファン)弁護士はこの日、「馬候補者の正式な裁判官任命手続きが完了するときまで、裁判官の地位を付与してほしい」という趣旨の臨時地位の仮処分申請書を憲法裁に提出した、と明かした。先に憲法裁は先月27日に裁判官全員一致で、崔権限代行が馬候補者を任命しないのは「国会の憲法裁構成権を侵害した」とする決定を下したのに、これに従わないのは違憲だから憲法裁が直接裁判官の地位を付与してほしい、というものだ。
金弁護士は申請書で「国家機関の地位を持つ被申請人(崔権限代行)が憲法裁の決定を履行せずにいるという、韓国憲政史上初の事件が生じている」「憲法裁の決定の羈束(きそく、拘束)力を無力化しているのはもちろんのこと、韓国国民の信頼を基盤とする憲法裁の決定にはあらゆる国家機関が従わなければならない法原則が崩れ落ちている」と主張した。
金弁護士は「崔権限代行が馬候補者を任命せず、幾つもの事件が適正な審理と決定を受けられずにいる。公正な裁判を受ける権利を侵害するもの」だとし「馬候補者が(裁判官の)臨時地位を付与されず空席が続いたら、これは、追って回復し得ない損害に該当する」と語った。
さらに「臨時地位付与仮処分は憲法裁の正常な機能を維持するための臨時かつ補充的な措置」だとして「正常な任命が行われるまで(裁判官)臨時地位を付与し、憲法裁の機能を正常に動かしてほしい」と求めた。
しかし憲法裁は、馬候補者の任命保留に関連する権限争議事件の宣告をする際、「馬候補者が裁判官の地位にあるということを確認してほしい」という国会側の請求に対しては「憲法裁が決定すべき問題ではない」として却下した。馬候補者に裁判官の地位を付与するのは憲法裁の権限外なので決定できない、というわけだ。
進歩(革新)系最大野党「共に民主党」は「崔権限代行が馬候補者を任命しなければ内乱首謀者」「権限代行が先頭に立って憲政秩序をじゅうりんしている」として、即時任命を要求している。法曹界や政界では、民主党が推薦する馬候補者が任命されて尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判の審理に参加することになった場合、裁判官6人以上の賛成が必要な弾劾案の認容に影響を与えかねないとみている。
パン・グクリョル記者