リー本部長に続くKASAの航空宇宙分野のナンバー2であるキム部門長も給与、米国の関係者とのやり取りを詳しく報告した。同氏は活動内訳の報告書に、昨年9月25日から今年2月28日にかけ、引っ越し費用を含め、6万9150ドルを受け取り、毎月住宅費として429ドルの補助を受けたとしている。
キム部門長は計13件の接触内訳を申告した。主に米国の大学教授と電子メールをやりとりしたり、在韓米軍宇宙軍幹部の大領(大佐)、少領(少佐)らとKASAで協業のための面会を行ったとする内容だった。一方、昨年11月28日、米国を代表する航空機大手ボーイングの韓国系技術者とKASAで会い「働き口」に関して話し合い、約2週間後にも電子メールでやり取りを続けたとする内容も実名で書かれている。この対話が採用に関連するものだったかは確認できていないが、人事に関連したやり取りが実名で報告・公開されたのは異例だ。
昨年8月、リー本部長の外国代理人登録に関連し、KASAは本紙に「内国人(韓国人)との面会は報告対象ではなく、機密などが含まれないように米国に資料を提出する前に確認する」としていた。そのためにセキュリティー業務に関する規定を整えたりした。しかし、米国が宇宙先進国であり友好国だとしても、韓国の税金から給与を受け取る韓国の公共機関の幹部が誰にいつ、なぜ接触したのかまで定期的に報告するというのは前例がないこととして受け止められている。
ある外交筋は「発足したばかりのKASAが韓国系米国専門家を採用するメリットは多いが、『宇宙強国』を目標とする世界の主要国で幹部活動がこれほど透明に公開されるケースはないだろう」と指摘した。申告内容に記載された接触相手などを見れば、KASAの関心事が明らかになり、韓米協力の協力を推定できる内容がいくつか含まれている。例えば、リー本部長は昨年7月、NOAA関係者と「ソーラーセイル(太陽光を動力に使う宇宙船)」プロジェクトでの協業の可能性に関連し、オンライン会議を行い、NASAとは月探査プログラムに関する協力の可能性をオンライン会議で打診したと報告している。
米国とは異なり、韓国には外国の代理で活動する人々を規制する法律がない。昨年、国民の力の崔秀珍(チェ・スジン)国会議員が外国などの代理で韓国で活動する人々に対する透明性を確保するための「韓国版FARA」を提案したが、議論が進展していない状況だ。国家情報院も昨年、同様の法案制定を目指すと表明したが、提案は行われなかった。さらに、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち、スパイ罪の適用対象を「外国」ではなく、北朝鮮を意味する「敵国」に限定している国は韓国だけだ。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員