韓国の林道は日本の20%未満、消火隊員の平均年齢61歳…山火事リスク解消に課題山積

 さらに慶尚北道には韓国で最も広い45万7902ヘクタールの松林がある。 慶尚南道(27万3111ヘクタール)と江原道(25万8357ヘクタール)よりはるかに広い。韓国の山林全体の27%を占める松は、大規模な山火事の主な原因に挙げられる。松やにはテルペンのような油脂成分を20%以上含んでいる。そのため、広葉樹に比べて1.4倍高い温度で燃え、燃焼持続時間も2.4倍長い。いったん松林に火がつくと、木全体が燃えながら大量の火の粉がつくられる。火の粉が上昇気流に乗ると、2キロ程度は簡単に飛んでいき、火災を急速に拡大させる。

 自然的条件以外にも高齢化と人口減少という社会的変化も大規模な山火事の原因になる。以前は山火事が起きれば集落の住民が延焼前に消し止めることが多かった。しかし、高齢化でそれができなくなった。山火事消火隊員の平均年齢が61歳に達しているため、効果的な火災鎮圧は難しい。自治体の公務員も火災発生時、山火事の消火よりも行動が不便な高齢者の避難を優先しなければならないため、消火要員はさらに不足する。山林当局は山火事が発生した際、どこに広がっていくかを予測する山火事拡散予測システムを導入した。それなりに体系的な対応態勢を整えたが、最前線で山火事を消す人材はますます不足しているのだ。

 大規模な山火事は無関心の結果だ。山火事予防のためには森の整備が必要だ。松のような針葉樹を間引きし、6メートル以下の高さの枝を取り除く活動は、山火事の抑止に大いに役立つ。しかし、その過程で伐採した枝や葉を木の周辺に野積みにすることが多く、かえって火災の可能性を高めている。当然外部に搬出しなければならないが、林道の不足でそれも容易ではない。林道は普段、山林管理はもちろん、火災の抑制と鎮圧でにも必要だが、韓国の林道は日本の20%にも達していない。放置された森は自然に戻るどころか、火災の危険だけが高まる危険な空間になりつつある。

 大韓民国は短期間で国土の緑化に成功する奇跡を成し遂げた。指導者の強い意志と効果的な行政力、そして国民の意識転換が結び付いた結果だった。しかし、はげ山がなくなった後、人々の山林に対する関心は薄れた。山はそのままにしておくのが最善だという誤った認識が定着し、国土の70%は無駄な空間になった。そして山林放置の代償は毎年起きる大規模な山火事だ。しかし、5年ごとに政権交代で全てが覆される大韓民国で、少なくとも一世代かかる長期的な山林管理と改善は果たして可能なのか気がかりだ。

法務法人律村 チェ・ジュンヨン首席専門委員

【早わかり】華蔵山と大雲山の山火事 明暗分けた林道の有無

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