■「司法府と選挙管理委員会の独立性を侵害」
憲法裁判所は大統領が非常戒厳令宣布直後、呂寅兄(ヨ・インヒョン)元防諜(ぼうちょう)司令官と国家情報院(韓国の情報機関)の洪壮源(ホン・ジャンウォン)元次長を通じ、一部の判事や政治家の位置を把握しようとした点も弾劾事由と認定した。逮捕目的の位置把握と判断したのだ。憲法裁判所は「現職の裁判官がいつでも行政府による逮捕の対象になり得るという圧力を受ける恐れがあった」「司法の独立という制度的な基盤を崩壊させた」と批判した。
洪壮源・元次長は弁論期日で「金命洙(キム・ミョンス)元大法院(最高裁判所に相当)長と権純一(クォン・スンイル)元大法官ら判事や政治家の氏名が記載された逮捕者リストを受け取った」と陳述し、いわゆる「洪壮源メモ」を公開した。ところがその後一部で虚偽が発覚し、証言の信ぴょう性が問題になったが、憲法裁判所はその証言や証拠をほぼ認定した。
「不正選挙疑惑」を理由に中央選挙管理委員会に戒厳軍を送ったことについても憲法裁判所は「令状なしに家宅捜索を行ったもので、令状主義に反し選管の独立性を侵害した」と判断した。当時300人以上の戒厳軍は京畿道果川市の中央選挙管理委員会庁舎、京畿道水原市の選挙研修院、ソウル市冠岳区の庁舎などで夜間の当直者5人の携帯電話を押収し、立入りを制限したことが分かっている。
■野党の横暴は認めるも「戒厳令は違法」
憲法裁判所は「連鎖弾劾」「予算の削減」など野党が多数議席を前面に尹大統領の任期に横暴や専横を続けた点は認めた。憲法裁判所は「(政府の)主要な政策は野党の反対で実行に移せず、野党は政府が反対する法案を一方的に成立させた」「(大統領は)野党の専横により国会がまひしたと認識し、これを何としても打開すべきとの責任感を感じたはずだ」との見方を示した。さらに「国会は政府との関係において寛容と自制を前提に対話と妥協を通じて結論を引き出すよう努力すべきだった」と指摘した。
しかし憲法裁判所は「野党の横暴と判断したとしても、憲法が定める自救策を通じてけん制とバランスを実現させるべきだったが、大統領は憲法と法律に反し戒厳令で国民を衝撃に陥れ、社会・経済・政治・外交のあらゆる分野に混乱を引き起こした」と判断した。
キム・ヒレ記者、キム・ウンギョン記者、ユ・ジョンホン記者