個人用の携帯武器で武装した北朝鮮軍兵士十数人が8日、江原道の軍事境界線(MDL)を侵犯したが、韓国軍の警告射撃を受け退却した。韓国軍当局は「北朝鮮軍による最前線遮断の動きに関係する偶発的な侵犯」「韓国における政治的混乱を突く目的の意図的な挑発の可能性」などを念頭に、北朝鮮軍の意図について分析作業を進めている。
【写真】北朝鮮兵たちが新たな監視所を建設する様子(2024年10月24日撮影)
韓国軍合同参謀本部は同日「午後5時に東部戦線の非武装地帯(DMZ)で北朝鮮軍兵士十数人がMDLを侵犯し、韓国軍が警告放送と警告射撃を実施した。その後、北朝鮮軍は北上した」と発表した。合同参謀本部は「韓国軍は北朝鮮の動向を綿密に監視しつつ、作戦の遂行手順に沿って必要な対応を行っている」とも説明した。
北朝鮮軍が侵犯した地域のMDLは逆V字型となっており、北朝鮮軍兵士らはMDLの横側から侵入し、50メートルほど入り込んだという。
北朝鮮軍によるMDL侵犯は昨年6月にも中部戦線で1カ月の間に3回立て続けに発生した。今回はそれから10カ月ぶりとなる。昨年6月の侵犯について韓国軍は「DMZ周辺の視野確保などを目的とする単純侵犯」と断定した。当時北朝鮮軍兵士の多くはシャベルやつるはしなどを手に武装しない状態で荒れ地や道路で作業しており、武装していたのは一部の監視兵だけだったという。
しかし今回侵犯した北朝鮮軍兵士らは全員が武器を所持し、防弾服を着用するなど完全武装状態だったようだ。侵犯した地域も江原道高城方面で、普段北朝鮮軍が道路作業や荒れ地での作業を行わない地域だった。
そのため「大統領の罷免や大統領選挙など韓国で政治的混乱が続く中、韓国軍の警戒態勢を把握するための挑発だったのでは」との見方も浮上しているが、その一方で「北朝鮮軍が今後の作業の準備のため地雷探知などの偵察活動中に偶発的に侵犯した可能性」も同時に考えられるという。ある韓国軍関係者は「地雷の爆発に備えるかのように防護服を着用した兵士と武装した軍人の双方がいて、一緒に偵察しているように見えた」「事前作業目的の偵察活動のようだった」とコメントした。
韓国軍がDMZ内で北朝鮮軍に警告射撃を行ったのは、昨年10月に北朝鮮が京義線と東海線の南北連結道路の軍事境界線北側区間を爆破した時以来、6カ月ぶりだ。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者