大統領代行なのに首相基準の議決定足数で可決した韓悳洙弾劾訴追案、憲法裁が権限争議審判を却下

 韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行国務総理の弾劾訴追手続きに反発し、与党・国民の力議員108人が禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長を相手取り起こした権限争議審判で、憲法裁判所は10日にこれを却下した。却下とは審判請求が基本的な要件を満たしていないと判断された場合、審理を行わず裁判を終わらせる決定だ。

【グラフィック】韓悳洙首相弾劾審判の主な争点

 憲法裁判所は「裁判官6対2の意見により、国会議長が国務総理(韓悳洙)弾劾訴追案を可決・宣布した行為については、請求人らの審判・評決権を侵害する可能性は認められないと決定した」と明らかにした。

 昨年12月に禹元植議長は韓悳洙代行の弾劾訴追案を可決したが、これに対して国民の力議員らは「大統領基準(200議席)ではなく国務総理基準(151議席)としたのは違憲であり、国会議員の審議・評決権を侵害する行為」として権限争議審判を請求した。

 宣告に参加した裁判官8人のうち文炯培(ムン・ヒョンベ)裁判官、李美善(イ・ミソン)裁判官、金炯斗(キム・ヒョンドゥ)裁判官、鄭貞美(チョン・ジョンミ)裁判官、金福馨(キム・ボクヒョン)裁判官、鄭桂先(チョン・ゲソン)裁判官の6人が却下の意見を出した。裁判官らは「議決定足数は憲法の解釈に関する問題」とした上で「この問題について確立した解釈がない状況で、禹元植議長は一定の意見を聞いて議決定足数を適用したが、これが憲法や法律に明らかに違反したとか、議員らの審議・評決権を侵害する可能性があるとまでは断定し難い」との見方を示した。

 「否決票行使の価値が下がる」とする国民の力議員らの主張については「これは一般議決定足数(151議席)による弾劾審判請求が不適切という趣旨に過ぎず、審議・評決権を侵害する可能性を認める根拠にはなり得ない」と判断した。

 反対意見を出した鄭亨植(チョン・ヒョンシク)裁判官、趙漢暢(チョン・ハンチャン)裁判官の2人は「(禹元植議長による)可決宣布行為は請求人らの審議・評決権を侵害したと考える」との見方を示した。

 2人の裁判官は「当時は議決定足数が弾劾訴追案の可決か否決かを左右する重要な争点だった」と見た。この点に関する明確な規定がなく、憲法裁判所の解釈もない状況で議員らの反発や抗議が相次いだにもかかわらず、禹元植議長は議決定足数を決めて強行した。これは議会制民主主義の原理に反するという趣旨だ。

 2人の裁判官は「国会議長であり本会の主催者である被請求人(禹元植議長)には、採決が行われる過程で議決定足数について国会議員に意見の提出や質疑、討論の機会などを十分に保障し、これにより葛藤や紛争を最低限に抑える方法を模索すべき憲法上の責務があった」と指摘した。

キム・ウンギョン記者、キム・ナヨン記者

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