「お金も稼げない、芸術的なチャレンジもできない」 日本は3作品が招待されたのに韓国勢ゼロの屈辱 第78回カンヌ国際映画祭

日本は40代の次世代監督が布陣…韓国は「ポスト・ポン・ジュノ、パク・チャヌク」なし

■CJ・中級映画・冒険心…韓国映画を支えてきた「三本柱」揺らぐ

 韓国映画は1990年代後半に好況期に入ってから次第に安易になってきた上、新型コロナウイルス流行以降の投資縮小や制作本数の減少で状況が悪化した。2024年の韓国の映画映像産業規模は3兆3322億ウォン(約3370億円)で、前年に比べて4%成長した。OTTサービス(動画配信サービスなど)市場は2兆719億ウォンで11%増えたが、映画館の売上は1兆2603億ウォンで5.5%減った。これは新型コロナ前の2019年の53%程度だ。市場縮小により冒険心が消え、安全な投資しか行われなかったということだ。検証済みの監督とスター俳優頼みとなり、そこにばかり大型資本が流れた。ヒット作の方程式通りにするため新鮮さや個性がなくなり、観客も背を向け、映画祭にもそっぽを向くようになった。映画市場評論家のキム・ヒョンホ氏は「韓国映画はお金も稼げないし、芸術的なチャレンジもできない『二重の沼』に陥った」と話す。

 「こうした沼から抜け出すには、大型商業映画と低予算独立系映画に二分されている体制を改善しなければならない」という指摘もある。釜山国際映画祭でプログラミング・ディレクターを務めたナム・ドンチョル氏は「20億-30億ウォン規模の中級映画を積極的に支援しなければならない」と言った。日本映画の躍進は10億-20億ウォンでもしっかりとした映画が作れる制作環境が支えているということだ。

 「新人監督や企画プロデューサーを積極的に育成するべきだ」という意見もあった。2023年にソン・ガンホ主演『クモの巣』でカンヌに招待されたエンソロジー・スタジオのチェ・ジェウォン代表は「観客1000万人を動員した映画『弁護人』はヤン・ウソク監督のデビュー作だった。今は新人監督に投資する覇気が消えたようで残念だ」と語った。韓国芸術総合学校の朴鐘元(パク・チョンウォン)教授は「映画に国庫で支援する際、恩恵を施してやるかのように機械的に選別せずに、多様な作品が出てくるような方向性をもって戦略を組まなければならない」と言った。

 また、映画関係者のグローバルな見方を強調する意見もあった。釜山国際映画祭のキム・ドンホ初代執行委員長は「若い監督ならば韓国の投資だけに頼らず、東南アジアなど多国籍共同制作に目を向けてみる必要がある」と語った。

 アドバイスをくださった方々:映画制作会社「外柔内剛」カン・ヘジョン代表、評論家キム・ドフン氏、キム・ドンホ釜山国際映画祭初代執行委員長、映画市場アナリストのキム・ヒョンホ氏、ナム・ドンチョル元釜山国際映画祭プログラミング・ディレクター、檀国大学公演映画学部の朴起鏞(パク・キヨン)教授、韓国芸術総合学校映画科の朴鐘元教授、映画投資・制作・配給会社「コンテンツ・パンダ」イ・ジョンハ総括取締役、評論家チョン・ソンイル氏、映画配給会社「アット・ナイン・フィルム」チュ・ヒ取締役、映画制作会社「アンソロジー・スタジオ」チェ・ジェウォン代表(ハングル順)

シン・ジョンソン記者

【表】最近5年間における韓国映画のカンヌ国際映画祭進出作品

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲2022年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したパク・チャヌク監督の『別れる決心』。 写真=CJ ENM
  • 「お金も稼げない、芸術的なチャレンジもできない」 日本は3作品が招待されたのに韓国勢ゼロの屈辱 第78回カンヌ国際映画祭

right

あわせて読みたい