政党の政治的利益を守る「派遣員」と化した韓国の憲法裁判官たち、任命方式を変えるべきだ【4月18日付社説】

政党の政治的利益を守る「派遣員」と化した韓国の憲法裁判官たち、任命方式を変えるべきだ【4月18日付社説】

 韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行が大統領指名分の憲法裁判官候補者2名を指名したことに対し、その効力の停止を求める仮処分申請を憲法裁判所が認めた。大統領権限代行が裁判官候補者を指名してはならないという法律はない。しかし、憲法裁判所は「大統領権限代行が裁判官の指名・任命権を行使できるとは断定できない」と述べた。これに伴い、文炯培(ムン・ヒョンベ)、李美善(イ・ミソン)裁判官の後任として韓悳洙代行が今月8日に指名した李完揆(イ・ワンギュ)法制処長と咸尚勲(ハム・サンフン)ソウル高裁部長判事の任命手続きは取りやめとなり、新任の憲法裁判官2名は新大統領が任命する可能性が高まった。

【7人体制】憲法裁の顔ぶれ

 韓悳洙代行がなぜ2名の任命を強行したのか、2名の人選も韓悳洙代行が行ったのかなどははっきりしない。だが、今回の件を見ると、憲法裁判官が憲法の守り人ではなく、各政党の政治的利益を守る派遣員のようになっている現実をあらためて感じさせられる。

 憲法裁判所がその役割を果たすには、何よりも裁判官の政治性が薄くなければならず、重大な責任を担う能力や経歴がなければならない。だが、今の憲法裁判官がそういう人物だと思っている人は多くない。憲法裁判所の政治的偏向が激しかった文在寅(ムン・ジェイン)政権時は、裁判官9人のうち5人を進歩・革新系の「ウリ法研究会」「国際人権法研究会」「民主社会のための弁護士会(民弁)」出身者が固めていた。これは前例のないことだった。その後、各政党が露骨に憲法裁判所に味方を送り込もうとした。最大野党で進歩系の共に民主党が同党員のような思考を持つ馬恩赫(マ・ウンヒョク)判事を憲法裁判官にしようとし、韓悳洙代行は保守系とされる裁判官2名を任命しようとしたものの失敗した。

 このような風潮は深刻な問題点を露呈している。憲法裁判所で李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長の弾劾訴追案が棄却されたものの、賛否意見が4対4に分かれたのが代表的な例だ。共に民主党が就任2日後に李真淑委員長を政略的に弾劾訴追したのにもかかわらず、野党から推薦された進歩系の裁判官4人は弾劾に賛成した。

 韓国の憲法では憲法裁判官9人を大統領・大法院(最高裁判所)長官・国会がそれぞれ3人ずつ指名するよう規定している。これには「互いにけん制せよ」という権力分立の理想が込められているが、その実情は理念や政党による分裂で正反対の状況となっており、解決の兆しも見えない。

 こうした今、「憲法裁判官はすべて国会が選出するものの、裁判官任命可決の定足数を在籍議員の3分の2以上とする」と定めたドイツ憲法裁判所のモデルは検討に値する。可決の定足数を引き上げ、政治的偏向が強い候補者は可決されにくくなっているモデルだ。これなら、各政党は相手側も納得できる憲法裁判官候補者を見つけようと努力するしかない。「今の憲法裁判所をこのままにはできない」という事実は否めないのだから、政界で協議してもらいたい。

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