元社員への未払い賃金支給に20㎏分の小銭で清算申し出た社長の復讐劇、判事に怒られる　／中国・四川省

　中国のある企業の社長が、退職した社員に賃金を小銭で支払ったところ、裁判所の制裁を受けたことが分かった。

　中国メディア「光明網」が15日、報じた。それによると、事の発端は中国企業A社の元社員リさんとシェ社長が賃金支払いを巡って揉めたことだった。リさんは、正当な賃金が支払われなかったとして訴訟を提起し、四川省成都市天府新区の人民法院（裁判所）はシェ社長に対し「リさんに8000元（約15万4800円）を支払うように」との判決を下した。しかし、裁判所の判決が出た後も、シェ社長は賃金を支払わなかったため、リさんは強制執行を申請した。

【写真】中国企業の社長が法廷に持参した重さ20キロ分の小銭

　シェ社長は強制執行前の審理過程で「この場で賃金を支払う」と言って、重さ20キロを超える小銭を自分で持参した。李さんに対する復讐（ふくしゅう）心から、支払うべき金額を全て小銭にして持ってきたのだ。シェ社長は「この小銭は私が数年にわたって店を営みながら集めた金だ」と主張し、リさんに「これで賃金を支払うから、小銭を自分で1枚ずつ数えてみろ」と言った。

　するとリさんはこれに屈せず、小銭の発行年度が2024年であることを根拠にシェ社長の主張がうそであると反論した。

　様子を見守っていた判事まで「このような行為は故意かつ悪意ある妨害行為だ」としてシェ社長を制止した。それでもシェ社長は「小銭を（支払いに）使うことができる。小銭も合法的な通貨であり、これを受け取るのも受け取らないのもリさんの選択に掛かっている」と反発した。

　すると判事はシェ社長を叱責し「自分で小銭を1枚ずつ全て数えよ」と指示した。シェ社長は結局、小銭を半分も数えられず、自らの過ちを認めることになった。シェ社長はその場で自身の口座からリさんの口座に遅延していた賃金を振り込むとともに、裁判所に反省文を提出した。

　裁判所は「全ての市民は有効な法律文書に規定された義務を適切なタイミングで履行する責任がある」として「小銭は法定通貨であり、いかなる組織や個人もこれを拒否することはできない。しかし、怒りを表す手段として使うのなら、資源を浪費する行為にすぎない」と指摘した。その上で「故意に執行を妨害する行為に対しては、罰金が科されるか、刑事処罰が下される可能性もある」と述べた。

キム・ガヨン記者