監査院によると、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の青瓦台(韓国大統領府)は2017年6月から、外部への提供が原則禁じられている住宅価格変動率算出の途中経過のデータを入手し始めた。韓国不動産院は2017年8月から12回にわたりこれらの事前提供中断を要請したが、青瓦台と国土交通部(省に相当、以下同じ)は黙殺したという。また青瓦台公職綱紀秘書官室は統計データの数値を低く改ざんするよう圧力をかけたが、これが警察庁の情報報告に記載されたため、青瓦台は国土交通部に「今後は不動産院への連絡に気をつけろ」と耳打ちしたという。金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官(当時)は「今後は市民などから指摘が出ないようしっかりと業務に当たるように」と指示したが、これについて監査院は「統計操作の黙認」と判断している。
2018年8月に当時の文在寅大統領は、統計庁の黄秀慶(ファン・スギョン)庁長を就任からわずか13カ月で突然更迭した。これは黄秀慶元庁長が統計資料の不法提供を拒否したからだという。黄秀慶元庁長は統計庁の職員らに「統計法に違反して青瓦台に資料を提供するのはやめろ」と繰り返し指示しており、この事実は監査院も把握している。統計庁職員らも青瓦台経済首席室などが強引な要求をするたびに「該当資料の提供は統計法に抵触するのでできない」と説明する文書を送付していたという。
このように統計操作は政府次元で行われ、反発も黙殺されていたが、不動産院は一連の統計操作を記録として残していたため、今回の監査院による監査結果で複数の不正を確認できたという。監査院が文在寅政権当時の統計操作について検討した証拠書類は3万ページに上る。
不動産院のある職員は「実際の状況はこちらが報告した統計とは多くの点で異なる」として報告された統計が改ざんされたものであることを電子メールを通じて関係部処(省庁)の首相室や企画財政部などに伝えていた。しかし首相室や企画財政部もこれに何の対応もしなかったという。その一方で2017年6月から2021年11月まで不動産院の住宅統計担当部署責任者だった5人は全員昇進した。
ヤン・ジホ記者