米日実施の台湾紛争ウォーゲームで中国空母が謎の1敗を喫した理由とは

産経「昨年2月のキーン・エッジ演習で実施」

台湾攻撃に乗り出した中国、在日米軍基地にミサイルを発射

自衛隊の戦闘機が米国の要請を受けて中国の上陸艦隊を攻撃

「中国の空母は攻撃対象として優先順位が低い」

■「中国の空母は脅威的ではない」…攻撃対象としての優先順位は下

 演習当時、自衛隊内部では「上陸艦隊より中国の空母をまず攻撃すべきではないか」という意見が出たそうです。しかし討論の末、その時点で中国軍が運用している空母は攻撃対象として優先順位は低い、という判断を下したといいます。中国の空母はそれほど脅威ではない、というんですね。謎の1敗を喫したわけです。

 琉球諸島最西端の与那国島に中国軍が上陸した、という状況も想定したとのことです。この島は台湾から東にわずか110キロしか離れていません。陸上自衛隊は、九州に駐屯する部隊を増援として派遣し、対応したそうです。この過程で、陸自の部隊を運ぶ輸送機と中国艦艇の攻撃のために出動する戦闘機のどちらが基地滑走路の優先使用権を持つのかを巡る論争が起きたといいます。

 産経が作ったグラフィックを見ると、北海道と東北にいる陸上自衛隊の「機動戦闘車」部隊も岩国基地へ移動することになっています。産経新聞は、このウォーゲームの結果は台湾有事の際に在日米軍と自衛隊の行動指針となる作戦計画にも反映されるだろう、との見方を示しました。

 自衛隊は集団的自衛権の観点から台湾防衛のための作戦を行った、と産経新聞は報じました。日本に対する組織的かつ計画的な武力攻撃とはみなせず、個別的自衛権を行使することはできないが、日本の存立を脅かす「存立危機事態」としては認定できるので、集団的自衛権の行使という次元で武力攻撃を行う-というものです。

■「存立危機事態、集団的自衛権の次元で対応」

 昨年2月の演習当時も、共同通信などは「米軍と自衛隊が中国を仮想敵国として明示して台湾有事に備えた演習を行った」と報じました。中国国営の「環球時報」などが「中国を仮想敵国とするこのような演習は台湾海峡を巡る緊張をあおるだけだ」と反発しました。しかし日本の防衛省と自衛隊は、当時「特定の国や地域を狙った演習ではない」と公式に否定していました。

 ところが、およそ1年が経過して、日本メディアを通して台湾有事に備えた演習を行ったという事実を電撃公開したのです。中国が台湾に侵攻したら米国と日本の連合軍が直ちに対応するだろう、という意志を露わにすることで、侵攻を抑止しようとする狙いだとみられます。

 日本は2022年に安保3文書を改訂し、自衛隊が敵の攻撃原点に対する反撃能力を保有できるようにしました。昨年5月には陸海空自衛隊を統合して指揮する統合作戦司令部の設置を定める法案が国会を通過しました。また、米国から海上発射型トマホーク巡航ミサイル、長距離空対地巡航ミサイル(JASSM-ER)などを購入しています。独自の極超音速ミサイルも開発し、来年から実戦配備に入ります。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】空母「山東」のスキージャンプ台を利用して発艦するJ15戦闘機

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  • ▲米軍と自衛隊統合幕僚監部の隊員、オーストラリア軍が、昨年2月の「キーン・エッジ2024」演習当時、米空軍横田基地で作戦を協議している様子。/写真=在日米軍

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