中国は西海暫定措置水域(PMZ)に海上固定式の構造物を無断で設置したが、これは中東などで使用後に廃船となった石油ボーリング船だったことが20日までに分かった。中国が廃ボーリング船を短期間で改造し、「養殖場支援施設」と名付けてPMZに設置したものとみられる。専門家は「漁業用以外の施設の設置、支援、開発などの活動が禁じられたPMZに、『漁業関連施設』という口実で事実上の『ミニ人工島』を建設したのだろう。これは今後海上の境界に影響を及ぼす恐れがある」と警告した。
【写真】中国が西海の暫定措置水域(PMZ)に設置した海底固定構造物と深藍2号上部の海面上監視施設
本紙が米国の地球観測データアプリ「SkyFi」に依頼し入手した複数の衛星写真を分析したところ、中国の固定式構造物は縦80メートル、横100メートルに達するとみられる。この構造物には「H」と記載されたヘリポートと3本の鉄骨の柱があった。構造物から南東3キロの海上では中国が昨年5月に「新しい養殖場」と主張し設置した八角形の鉄製構造物「深藍2号」も確認された。
韓国海洋科学技術院の海洋調査船「オンヌリ号」が今年2月にPMZの現場を視察した際、深藍1号と深藍2号の他にも新たに固定された構造物を確認し写真に収めた。本紙が与党「国民の力」の厳泰永(オム・テヨン)議員を通じて入手したこの写真を確認したところ、この固定構造物の側面には「Atlantic Amsterdam」という文字が記載されていた。船舶記録を確認した結果、これは1982年にフランスで建造され中東などで石油ボーリング船として使用された後、2016年に廃船となった船舶であることが分かった。中国は14年にベトナムの排他的経済水域(EEZ)にも一方的に石油ボーリング施設を設置し、周辺海域の実行支配権を主張したためベトナムと激しく対立した。中国は南シナ海で石油ボーリング船や人工島などを使って影響力を拡大しているが、それと同じ手口で今後「西海工程」を本格的に進める可能性も浮上している。
■人工島や構造物で西海を少しずつ確保…中国が南シナ海で使ったのと同じ手口
過去3年間に西海暫定措置水域(PMZ)を撮影した複数の衛星写真を分析した結果、中国が設置し新しい養殖場と主張している深藍1号と深藍2号は半潜水式の施設だった。本体が海面上に出たときは衛星写真に撮影されるが、潜水中は見ることができない。潜水地点を移して海面上に出るケースもあった。一方で中国が廃ボーリング船を改造して設置した構造物は2022年10月に北緯35度・東経122度付近に設置され、その後は移動せず同じ位置に固定されている。
今月2日に撮影された最新の衛星写真でも固定された構造物の存在が確認され、その周囲には波を立てながら移動する中国船舶とみられる物体も見えた。中国はこの固定構造物について「養殖場である深藍を管理し、支援する施設」と主張しているという。
衛星写真を拡大したところ、固定構造物の中央にはアンテナ塔とみられる物体が存在し、側面には2隻のボートもあった。構造物は縦80メートル、横100メートル、高さ50メートルで最大100人を収容できる空間も確保されていた。韓国海洋水産部(省に相当)の関係者は20日「この固定構造物は中国が購入し改造する前まで石油ボーリング船だった。古いボーリング船ではあるが、その仕様から収容人数は100人に達する」とした上で「固定構造物はサッカー場ほどの大きさで、小型の人工島と言えるだろう」と説明した。
専門家は「中国は海流に流されない固定構造物を使い海上での支配力を強化してくるだろう」と警告する。この固定構造物に加え、半潜水式の構造物である深藍1号や深藍2号などを使い韓国船舶の航海権、接近権を制限し、この海域を事実上の内海とする意図があるものと考えられる。